知的財産ニュース 規制を緩和し、国有特許事業化を促進する

2018年10月24日
出所: 韓国特許庁

「中小企業の競争力向上に向けた国有特許活用革新方策」を発表

韓国政府は10月24日、政府ソウル庁舎で「第18回経済関係大臣会議」を開催し、革新成長対策の一環として「中小企業の競争力向上に向けた国有特許(注1)活用革新方策」を発表した。

この革新方策には国立研究機関などのR&D成果である国有特許を企業がより積極的に活用して革新成長に貢献するように、(1)国有特許の創出促進、(2)国有特許の活用・管理体系の改編、(3)実施料納付体系の改善、(4)国有特許事業化に関する規制緩和などの改善策が盛り込まれている。

国有特許はこれまで年間8,000億ウォン規模のR&D投資を行い、量的成長(*)をしてきたが、質的水準や価値創出は比較的不十分であった。  

*最近3年間の国有特許保有件数は25.9%増、(2015年4,976件、2017年6,267件)

**国有特許の使用率(企業に移転され、事業化につながった割合)は21.7%と、企業(58.5%)、大学・公共研(34.9%)に比べて低い(2017年度知的財産活動に関する実態調査、特許庁)

2017年に企業が国有特許の移転を受け、事業化につなげて上げた売上は335億ウォンに過ぎず、R&D予算に比べると、経済価値の創出効果は微々たるものであった。

これを受け、政府は中小企業への国有特許の移転・事業化が韓国経済の成長エンジンの確保と雇用創出につながるよう、革新方策を打ち出した。国有特許の使用率を現在の21.7%から2022年までに大学・公共研の水準である35%に高め、移転を受けた民間企業の売上を335億ウォンから3,000億ウォンに伸ばすために、具体的課題を政府レベルで推進していく計画である。

第一に、企業が希望する優秀な特許を創出することができる制度的基盤を造成する。

企業の需要がある技術を中心に特許出願を誘導(*)し、国有特許の代理費用の適正化を推進し、特許の品質を向上し、国家機関に所属する非正規雇用の研究員による職務発明に対する正当な補償の実施規定を新設し、発明意欲を高める。

*出願前に発明の審議・評価を行い、有望な技術を選び抜く「需要基盤の発明インタビュー」を導入

第二に、国有特許の管理・活用体系の効率も上げる方針である。

企業に対する専用実施(*)許与業務を特許庁から技術取引専門機関(**)に委託し、企業の事業化を成功させるために、発明者の技術支援などの協力義務を強化し、職務発明の個人名義の出願を制裁する法的根拠を整える。

*特定の人に特許の独占的な事業化を許容(通常実施権に備える)

**現在、国有特許の通常実施許与業務は農業技術実用化財団、発明振興会などで行う

第三に、実施企業の不便を解消するために国有特許の実施料納付体系・方式を多様化し、企業が実施料を誠実に納付するよう、制度改善を進める。

一括で適用する事後精算制(注2)から脱し、企業の選択の幅を拡大する柔軟な実施料納付方式(注3)に見直し、実施料を誠実に納付する企業には再契約する際、実施料を減免するインセンティブを提供し、未納業者には政府調達への参加制限などの制裁案を示す。

第四に、国有特許事業化を阻害する規制を大幅に緩和する。専用実施期間制限を緩和(1回から1回超過可能への)し、独占的使用権である専用実施の許与を拡大し、民間資本を活用した国有特許事業化が促進されるよう、国立研究機関の職務発明への研究所企業(*)の現物(特許)出資を許容する。

*公共技術事業化のために、公共研究機関が20%以上の現物出資を行い、研究開発特区に設立

政府は、今回の革新方策で国有特許の利用率を高め、中小企業の革新と成長を支援し、国有特許実施料の増加に伴い、財政収入の増大にも寄与すると期待する。 特許庁長は「これまで管理に重点を置いてきた国有特許を事業化につなげ、中小企業の革新成長を促進するために今回の改善策を講じた」と述べ、「課題を推進するために発明振興法の改正案を年内に示すなど、今回の対策がスピーディーに行えるように、関係部処と積極的に協力していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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