知的財産ニュース 医療領域に挑戦する人工知能(AI)ドクター

2018年10月11日
出所: 韓国特許庁

人工知能を融合した医療技術に関する特許出願が急増

韓国特許庁によると、人工知能(AI)を取り入れた医療技術(AIドクター)に関する特許出願件数は、 1994年から2017年まで計585件となり、特に直近5年で出願件数が急増(注1)していることが分かった。

AIドクターに関する出願の9割は疾患の診断(474件)と健康管理(47件)が占めており、その他治療(22件)、手術(13件)、セキュリティ(15件)の分野で取り入れるなど、人工知能を活用する分野が多様化することが明らかになった。

出願人別(累積出願件数基準)では、サムスン電子(91件)の出願件数が最も多く、次いで韓国電子通信研究院(20件)、韓国科学技術院(16件)の順であり、韓国人による出願が多く(439件、75%)を占めている。

外国人による出願ではシーメンス(12件)、クアルコム(10件)、グーグル、マイクロソフト、ハートフロー(それぞれ4件)の順であった。

最近、AIドクターに関する特許出願が急増している背景には、人工知能と精密医療分野に対する政府の積極的な投資、人工知能を基盤とするプラットフォームの発展や普及があるといえるだろう。

国内外で人工知能を融合した医療技術の状況を見ると、米IBMのAI博士「ワトソン」は外国のがんセンターだけでなく、韓国のがんセンターにも導入され、肺癌、前立腺がんなどの治療に使われている。中国のAIドクター「シャオ・イー(暁医)」は昨年、医師国家試験に合格し、今年から総合健康診断サービスを提供している。

外国企業に比べて後れを取っているが、韓国企業はAI研究センターを設立するなど、AIドクターに積極的な投資を行っている。ベンチャー企業は肺結節や脳梗塞が疑われる領域を表示するAI映像診断機器に対する許可を食品医薬品安全処から受けるなど、AIドクターに対する熱気が高まっている。 

特許庁医療技術審査チームのパート長は「人工知能と医療技術を融合することで、以前は想像すらできなかった形のサービスを提供しており、今後も人工知能による医療パラダイムシフトが起こるだろう」とし、「韓国企業も人工知能を基盤とする医療市場の先取りと技術競争力の確保に向け、優先審査を活用した早急な知財権確保に注目する必要がある」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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