知的財産ニュース 特許庁、「特許間接侵害改正案」に対する公聴会を開催
2018年9月3日
出所: 韓国特許庁
1973年以来、間接侵害規定を大幅に改正、3Dプリンティングのデータ転送も保護
韓国特許庁は、特許侵害規定改正案に対する公聴会を9月5日(14時00分〜16時30分)、韓国知識財産センター(19階、国際会議室)で開催すると発表した。
今回の公聴会の主な内容は、特許保護の実効性を高め、デジタル・ネットワーク環境で新たに登場する侵害の種類に柔軟に対応する間接侵害改正案となっている。
韓国をはじめ、ほとんどの国は特許権者の許諾なしで特許発明の技術をそのまま実施する行為を直接侵害と位置づけ、禁止している。特に、直接侵害ではないが、特許発明の主要部品を生産して特許発明製品全体への直接侵害になりかねない行為についても間接侵害と位置づけ、禁止することで、特許制度の実効性を高めている。
これまで米国、欧州、日本などは産業環境の変化に応じ、間接侵害の範囲を拡大(注1)し続けてきた。 一方、韓国は1973年に設けた間接侵害規定をこれまで維持しており、主要国に比べて特許権者の保護が不十分との批判があった。
例えば、現在の間接侵害規定は「特許発明の生産にのみ使われる物」、つまり専用物を対象にするため、侵害訴訟でその物が特許発明を作る目的のみで使われることを証明することが困難であった。
さらに、間接侵害の対象を「物」に限定しており、特許製品に対する「3Dプリンティングデータ」が無断で転送されても、特許として保護されるには限界があり、第4次産業革命の時代に適合していない面があった。
今回の間接侵害改正案は、專用物でなくても間接侵害の適用対象とすることを可能にする。ただし、無分別な適用を防ぐために「中核部品に限定」し、「特許発明に使われることを知っている場合のみ適用」することにした。
また、特許発明に「使われることを知りながら」特許製品の「3Dプリンティングデータ」を、情報通信網を通して提供する行為について侵害と位置づけ、デジタル・ネットワーク環境で実効性のある特許保護を可能にした。
特に、直接、部品などを生産しなくても、「特許発明であることを知りながら」その実施を誘導する行為を侵害と位置づけ、様々な形で現れる特許侵害の種類に柔軟に対応できるようにしたことに注目すべきである。 公聴会には法曹界、企業の特許担当者、教授、弁理士などの特許関係者が参加し、活発な議論を行う予定であり、事前登録せずに誰でも参加できる。
特許庁特許審査企画局長は「今回の改正は、特許権者の保護強化の一環として行われるものであり、1973年に設けられた間接侵害規定を大幅に改正する」とし、「産業界などに及ぼす影響が大きいため、懇談会、公聴会を行い、意見を集約するなどして最終案を確定する予定だ」と述べた。
注記
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(1)欧米は初期には特許侵害に使われる部品の専用性(特許発明以外の用途の有無)が重要な基準であったが、徐々に特許発明以外の用途を有する部品にも間接侵害を適用
(2)日本は特許発明にのみ使われる物にのみ適用していた(1959年)が、特許発明以外の用途を有する物・プログラムにも適用(2002年)し、侵害品所持行為にも適用(2006年)
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