知的財産ニュース 「技術奪取を根絶」中小企業ベンチャー部、技術侵害調査の専門人材を採用

2018年9月2日
出所: 電子新聞

中小ベンチャー企業部(以下、中企部)は今年12月に行われる中小企業技術保護支援に関する法律(中小企業技術保護法)改正案の施行に合わせ、デジタルフォレンジックの専門家など、技術侵害調査の専門人材を採用する予定である。技術侵害事件の行政調査権限が与えられ、中企部内に独自の技術侵害事件調査チームを設けるためである。

中企部によると、技術侵害事件調査チームはデジタルフォレンジックの専門家、弁護士、弁理士、捜査経験者などからなり、二つのチームが作られることが分かった。チームは中企部の所属となり、中企部は専門家の特別採用を行うために、現在、行政安全部と人材配置の規模などについて協議中である。

中小企業技術保護法改正案は、中企部に技術侵害事件の行政調査権限を付与するという内容が骨子である。中小企業に対する技術奪取・盗用事件が発生すると、中企部は報告を受けて現地調査を行い、是正勧告を出すこともできる。これまで中企部の役割は法律の専門家による諮問・相談や諮問費用支援などに限られてきたが、法改正により役割が拡大することになった。

改正案が施行されれば、技術侵害の被害を受けた中小企業は、中企部、地方中小企業庁、大・中小企業農漁業協力財団などに報告すれば良い。その後、中企部はその内容を検討し、下請法違反の疑いがあれば、公正取引委員会に、特許侵害の疑いがあれば、特許庁などの関連機関に迅速に移管する。

中企部の所管事項であれば、報告した中小企業から事件内容と証拠を確保し、侵害企業に公文書を送り、調査チームが調査を行う。調査後は、専門家からなる技術侵害審査委員会で侵害の当否について検討する。侵害が確定すれば、中企部は侵害企業に是正勧告を出し、勧告に従わなければ、インターネットや報道機関に侵害企業の関連情報を公開する。

中企部の関係者は「一部では是正命令や罰則規定なしで勧告だけでは強制力が弱いとの声も上がっているが、支援法であるため、罰則規定などを直ちに反映することは困難である」とし、「改正案の施行後、実効性を確認し、是正命令や罰則規定、さらに特別司法警察権の導入も検討する予定だ」と述べた。

中小企業が被る技術奪取被害の根絶は、中小ベンチャー企業部長官が推し進める政策1号である。 これからは、大企業による横暴が中小企業の成長の足かせとならないようにし、中小企業の技術に対する正当な評価が行われる環境を整えるという趣旨である。  

技術奪取事件に対する中企部の行政調査権限の確保とともに、技術任置制度の活性化、技術奪取に対する懲罰的損害賠償制度、技術奪取事件の立証責任の転換なども推進している。中企部の主導で産業通商資源部、最高検察庁、公正取引委員会、警察庁、特許庁が参加する部処の枠組みである「技術奪取の根絶に向けたタスクフォース(TF)」も立ち上げ、技術奪取を根絶する対策を策定した。

最近では、政府傘下の公共機関と技術盗用の紛争に巻き込まれたスタートアップに技術保護支援班を派遣し、法律に関する諮問を行った。

先月31日にはCOEXで大・中小企業農漁業協力財団と共同で、中小企業技術保護カンファレンスも開催した。大・中小企業の役職員と技術保護専門家など約300人が参加し、技術奪取の根絶に関する政策および大・中小企業の技術保護に関する優秀事例などを共有した。

中企部の技術人材政策官は、「技術奪取は犯罪と認識すべきだ」とし、「大企業が中小協力会社のアイデアを保護し、そのアイデアを大企業の資本力と技術力に結合して共生する『開放型イノベーション』を起こす時期に来ている」と述べた。

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