知的財産ニュース スマートフォンを財布のように折りたたみ、広げる

2018年8月20日
出所: 韓国特許庁

フォルダブルディスプレイ関連の特許出願が増加

韓国特許庁は、ディスプレイデバイスに関する特許出願のうち、ディスプレイパネルを折りたたみ、広げることができるフォルダブルディスプレイに関する特許出願が最近、急増していると発表した。

フォルダブルディスプレイに関する特許出願件数を見ると、直近6年間(2012〜2017年)で計276件、特に直近3年間(2015〜2017年)の特許出願件数は、以前3年間(2012〜2014年)の66件の約3.2倍増の210件となっている。

これは、スマートフォンのハードウェアの発展が限界に達し、以前とは差別化されたフォルダブルスマートフォンが突破口になるという見通しに基づき、企業が新たな市場を先取りするために、フォルダブルディスプレイ関連技術の研究開発に集中し、特許出願が活発になったためだろう。

出願人別に見ると、LGディスプレイ94件(34.1%)、サムスンディスプレイ80件(29.0%)、サムスン電子23件(8.3%)、LG電子17件(6.2%)となっており、韓国のディスプレイメーカーとスマートフォンメーカーが特許出願の多くを占めていることが明らかになった。

主な技術の出願動向を見ると、ヒンジとハウジング86件(31.2%)、折りたたみ機能の向上50件(18.1%)、タッチと折りたたみ状態センシング48件(17.4%)、カバーウィンドウ22件(8.0%)などと、ディスプレイを折りたたみ、広げる技術はもちろん、耐久性関連の技術、折りたたみ状態次第でユーザーインターフェイス(UI)を実装する技術など、フォルダブルスマートフォンに特化した新しい技術が大半を占める。  

フォルダブルスマートフォンは現在までLenovo(レノボ)などの企業が試作品を披露したことはあるが、ディスプレイ部分に耐久性問題などがあり、量産に入ったことはできなかった。しかし、サムスン電子が来年初めにフォルダブルスマートフォンであるギャラクシーXを公開する予定であり、多くの企業がこぞってフォルダブルスマートフォンの発売に取り組んでいる。

特許庁ディスプレイデバイス審査チームのチーム長は、「フォルダブルスマートフォンはガラッと変わったデザインやイノベーション技術を駆使し、低迷しているスマートフォン市場を活性化し、関連産業の雇用創出に寄与すると見込まれる」とし、「ただ、数万回以上折りたたんで広げても跡が残らないように、耐久性を維持する技術が商用化のカギとなるため、中核技術に対する特許権を優先的に獲得し、市場で優位に立つことが重要だ」と訴えた。

特許庁はディスプレイ技術分野の特許競争力を強化するために、業界と特許庁間のコミュニケーションと協力の一環として『IP Together』というイベントを定期的に開催しており、「特許法説明会」なども開き、関連情報を継続的に提供していく計画である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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