知的財産ニュース 素形材技術から先端技術に進化

2018年7月2日
出所: 韓国特許庁

真空ダイカストに関する特許出願、中小企業が主導

真空ダイカスト技術が2012年のコア素形材技術(注1)に選ばれた後、中小企業が特許出願を主導し、高品質の自動車やIT部品を生産することができる先端技術として脚光を浴びている。

韓国特許庁によると、真空ダイカストに関する特許出願件数は、2011年までは年間約10件に過ぎなかったが、2012年に24件出願されてから増え続けていると明らかにした。

ダイカスト技術とは、金型に溶融金属を圧入して精密な製品を生産することができる鋳造技術を意味する。仕上げ工程を省き、機械的性質に優れた製品を大量生産することができる、製造業における中核技術である。

真空ダイカスト技術とは、鋳造品の内部の気孔欠陥を能動的に制御することで、従来の鋳造品とは異なり、溶接や熱処理が可能となるため、特性向上や製品の適用範囲が拡大すると見込まれる。また、自動車やIT部品の製造に適用することができ、高精度・高付加価値製品の需要の増加が伸びると予想される。

出願人の動向を見ると、韓国人が全体の約87.7%を占めており、中小企業64.9%(100件)、個人13.6%(21件)、大企業11.0%(17件)、大学および研究機関10.4%(16件)の順であった。

注目すべきは、中小企業の出願が2008〜2011年には全体の48.8%を占めたが、2012〜2017年には71.2%と急増したことである。これは、真空ダイカスト技術がコア素形材産業に指定されたことや高品質、高付加価値市場の需要増加に伴って中小企業が積極的に参入しているためであろう。

特許庁応用素材審査課の課長は「高精度、高付加価値製品を製造することができる真空ダイカストに関する特許出願は、中小企業を中心に着実に増加するとみられる」とし、「真空ダイカスト技術は、コア素形材技術であると同時に最先端技術であり、今後、市場競争で優位になるためには関連技術を早期に権利化することが何よりも重要であり、中小企業の裾野拡大や雇用創出に大きく寄与するだろう」と訴えた。

特許庁では優秀な技術を保有する企業の特許創出力を高めるために、知財権と連携したR&D戦略策定を支援しており、海外進出を支援するために海外市場に合わせた知的財産戦略を継続的に提供している。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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