知的財産ニュース 商標、登録が終わりではない!

2018年6月25日
出所: 韓国特許庁

「保存商標」の不使用取消審判請求が増加、実際に使用する商標は継続的な管理が必要

韓国特許審判院は昨年、特許庁に登録されたが実際は使用されていない商標、いわゆる「保存商標」2,172件の登録を取り消した。これは、2016年の1,207件より180%増加した数値である。

商標法では、商標の使用を促進するために特許庁に登録された商標であっても3年間使用されていない場合、誰でも登録取消審判を請求することができる。この場合、商標権者がその使用を証明できなければ、該当商標の登録を取り消す商標登録取消審判制度を規定(商標法第119条第1項第3号)している。

特許審判院によると、2013年1,676件、2014年1,449件であった登録商標に対する取消審判請求が増え続け、2016年2,122件、2017年には2,124件に達した。これにより、特許審判院は審決で2016年1,207件、2017年には2,172件の保存商標の登録を取り消した。

保存商標の登録取消が増加している背景には、特許庁が他人の商標選択権と営業活動を制限する保存商標問題を解決するために2016年9月1日施行された改正商標法で、従来は利害関係者のみが請求することができるように制限した取消審判を誰でも請求できるように認めたことで、審判請求人が負う利害関係疎明の負担がなくなり、これを受けて特許審判院は歩調を合わせ、2017年から商標権者が使用の証拠を提出していない場合、迅速に処理するよう保存商標の審判処理に取り組んだことがある。

登録商標が保存商標と判断され、登録が取り消されるパターンを具体的に見ると、

第一に、商標権者が当該商標を3年以内に使用したことを証明できない場合である。商標権者がその証明を放棄するか、使用証拠が不十分である場合であり、登録取消のほとんどはこれに当たる。

第二に、登録商標を過度に変形して使用した場合である。登録商標を構成する要素中、重要な部分が欠けているか、全体的な外観を過度に変形し、商標の同一性を毀損して使用した場合である。

第三に、登録商標を指定した商品ではなく、他の商品に使用した場合、例えば「靴」を指定商品にして登録を受けた商標を「衣類」など、「靴」ではない商品に使用した場合などである。

特許審判院審判1部審判長は「保存商標はその商標を使用したい人には大きな被害を与えるため、これからも使用の証拠を提出しない取消審判については速やかに処理していく」と明らかにした。

続いて「しかし実際、登録商標を問題なく使用している権利者は、こうした登録取消審判請求に備えて商標の使用の証拠を頻繁に収集しておき、登録商標を過度に変形して使用するよりも、洗練された形に修正した商標を新規登録した方が良く、新しい商品を扱うことになる場合は、指定商品を追加で登録するなど、自分の営業状況に合わせて登録商標を継続的に管理することが求められる」と付け加えた。

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