知的財産ニュース IP5による共同審査時代が開幕

2018年6月18日
出所: 韓国特許庁

米国ニューオーリンズで開催された五庁長官会合で合意

世界5大特許庁(IP5、(注1))が共同特許審査を開始し、知的財産権分野で第4次産業革命に備えるための協力も強化する。

米国ニューオーリンズで6月14日(木曜)に開催されたIP5長官会合には、日米欧中韓の特許長官、世界知的所有権機関(WIPO)の事務局次長が出席した。  

IP5はPCT国際特許出願に関する協力審査を試験的に実施することにした。協力審査は今年7月1日から始まり、五庁が一つの出願について共同で審査する最初の事例である。これは、国家間の共同審査による新たな可能性を模索する先導的な実験になるだろう。また、審査品質を向上させることで、特許取得の可能性を早期に確認することができるなど、特許制度全般のサービス改善につながると見込まれる。IP5は試験的に運営する2年が終了すれば、同事業の正規化をめぐり、後続議論を進めることにした。

IP5は第4次産業革命に関する知的財産権イシューに対する協力も強化することにした。まず、モノのインターネット(IoT)の普及などに伴い、産業全般で重要性が増している「標準特許」に関連し、実施契約過程における透明性の向上策についてIP5が継続的に議論していくことで合意した。その議論の焦点は、「標準特許」に関するシステムの法的安定性や予測可能性を高める方策の探索に当てられるとみられる。

また、第4次産業革命の新技術に対する特許分類細分化事業についても合意した。既に進んでいる「モノのインターネット」、「自動運転車」のほか、韓国が提案した人工知能、知能型ロボットなどの5つの新技術分野(注2)に対する特許分類細分化事業の実施対象が確定したのである。

他にもIP5は、IP5協力の効率を高めるためのプロジェクト改編案を採用しており、IP5審査情報照会システム(Global Dossier)改善、特許制度の相互調和、特許庁間の協力強化などに向けたIP5プロジェクトの推進方向を承認した。

会合に先立ち、6月13日(水曜)に開催された「IP5長官と産業界の会議」では、「特許品質」、「IP5協力の未来」といった戦略的なテーマを含め、さまざまな事項について議論した。この会議で産業界の代表らは過去10年間、IP5協力が特許審査の効率性や品質向上に大きく貢献したと評価した。

韓国特許庁長は「IP5は世界特許システム改善をリードする中核的な枠組みである」と前提し、「知的財産をめぐる国際環境が第4次産業革命時代の革新成長と相まって改善するよう、先進特許庁との協力を強化していきたい」と述べた。

来年のIP5長官会合は韓国特許庁が主催し、6月中旬に仁川の松島で開催される予定である。

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