知的財産ニュース 第4次産業革命とサッカーの融合

2018年6月14日
出所: 韓国特許庁

IT技術を取り入れたサッカー機器関連の特許出願が増加

2018サッカーW杯ロシア大会の開幕を控え、第4次産業革命関連のIT技術を取り入れたさまざまなサッカー機器が公開される。今回の大会にはワールドカップ史上初で正確な判定のためのビデオ判定システム(ビデオ・アシスタント・レフリー、VAR)と近距離無線通信規格(NFC)チップが埋め込まれた公式試合球が導入された。このように最新のIT技術を取り入れたサッカー用品・機器に関する発明の特許出願が韓国でも増えている。

韓国特許庁によると、IT技術を取り入れたサッカー機器に関する出願件数は2001年から2017年まで計74件あった。技術分野別に見ると、2009年までは訓練とゲーム装置(37%)、サッカーボール(18%)、サッカースタジアムの関連施設(18%)がメインだった。一方、2010年のサッカーW杯南アフリカ大会後はサッカーシューズ(18%)、分析記録装置(18%)、レガース(12%)に関する出願が増えた。その背景にはモノのインターネット(IoT)のようなIT技術の進歩に伴い、技術分野が多様化したことがあるだろう。

出願人の類型を見ると、2009年までには個人が80%であったが、2010年以降は個人出願人の割合は67%へと減り、中小企業15%、大学・研究所6%、大企業が3%を占めており。IT技術の進歩に応じて、さまざまな出願人による技術開発と特許出願が増加したことが分かる。  

主要技術を見ると、さまざまなセンサーが設置された訓練装置とゲーム装置ではユーザーのシューティング動作を感知してシューティングの速度・方向・習慣を分析し、その結果をスクリーンや個人のタブレットに出力することで、シューティング練習に効果的に使われるようにする。これで、室内ゴルフと室内野球のように室内でもサッカーが楽しめるようになり、サッカー産業の拡大に寄与するとみられる。

モノのインターネット技術の進歩により、サッカーボールとサッカーシューズもインターネットにつながった。内蔵センサーを利用してサッカーボールとサッカーシューズへの衝撃、サッカーボールの移動距離速度などを感知し、選手と観客はその結果をスクリーンやボールに形成されたディスプレイで確認できる。

安全のために選手が身に着けるレガースにもモノのインターネットの技術を適用する。レガースに埋め込まれたセンサーで測定した選手の生体情報やカメラで撮影したスタジアムの環境情報、選手の活動情報などを組み合わせて選手が負う負傷の可能性を算出し、負傷や緊急事故を未然に防止することができる。

IT技術を取り入れた試合の分析記録装置は、身体又はユニフォームに取り付けられた無線自動識別装置(RFID)チップで感知した情報とカメラで撮影した情報を利用し、選手とボールの動きを見極める。このように分析した結果を監督とコーチが個人の端末で確認することができるため、科学的な試合分析が可能になる。

特許庁住居生活審査課の課長は「第4次産業革命時代を迎え、サッカーとIT技術が融合したサッカー機器関連の特許出願が増加している」とし、「サッカー産業は全世界が市場であるだけにIT技術の高い競争力を誇る韓国企業が進出すると見込まれ、雇用創出にも役立つだろう」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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