知的財産ニュース 特許庁、ニューラルネットワークによる機械翻訳を導入
2018年5月23日
出所: 韓国特許庁
特許庁と世界知的所有権機関、ニューラルネットワークによる機械翻訳を無償で技術移転することで合意
韓国特許庁は5月22日・23日の2日間にわたってスイスのジュネーブで開かれた世界知的所有権機関(WIPO、World Intellectual Property Organization)との機械化協力会議でニューラルネットワークによる機械翻訳(NMT、Neural Machine Translation)の技術移転などについて協力することで合意した。
*世界知的所有権機関(WIPO)は2016年9月からニューラルネットワークによる機械翻訳を導入し、10の国際公開言語(PCT言語)に対して翻訳サービスを提供している
2016年度下半期から機械翻訳の分野にも人工知能手法を適用し、翻訳品質が向上した。これを受けて特許庁はNMTの導入を検討し、その一環として特許翻訳に特化したWIPOのNMTを導入することを決めた。
*現在、特許庁はルールベース機械翻訳(Rule Based Machine Translation、RBMT)の方式で英韓、韓英、中韓、一般機械翻訳を審査官、調査員、国民に提供している今回のWIPOとの協力を契機に特許庁はNMTシステムの技術やノウハウを伝授される。これにより、特許庁は独自の翻訳システムを運用し、両機関の機械翻訳の品質評価の結果と学習データ(コーパス、Corpus)を交換することで、機械翻訳の品質を向上させることができると見込まれる。
WIPOから導入するNMTは、まず海外のユーザーが韓国の審査情報を照会することができるように、審査情報検索システムであるOPDとK-PIONを通じて提供される予定であり、今後特許庁はこうしたノウハウをもとに他の翻訳サービスへと拡大する予定である。
* OPDとK-PIONは特許審査情報共有システムであり、OPDは特許分野の先進5カ国(IP5:日米欧中韓)が使い、K-PIONは他の国が使う
特許庁(KIPO、Korean Intellectual Property Office)とWIPOは、今後2年間の両機関の機械化協力計画である「KIPO‐WIPOの PCT(注1)機械化協力計画(2018-2019)」にも合意した。
これにより、PCT出願時にPCT電子出願システム(ePCT)で作成した出願書をオンラインで特許庁(特許路)に直ちに提出することができるよう、システムを改善するなど、出願人の利便性を高めると同時に、PCT文書の電子伝送システムを改善し、両機関間の郵便発送や書類の電子化のコスト削減、文書の転送にかかる時間の短縮など、行政処理の効率向上を図る予定ある。
韓国特許庁情報顧客支援局の局長は「今回の会議ではニューラルネットワークによる機械翻訳とPCT電子出願サービスを中心とする協力策を講じたが、特許庁は今後、AIおよびICTに関する協力課題をさらに発掘し、特許情報利用者に役立つ特許行政構築に取り組んでいきたい」と述べた。
注記
-
Patent Cooperation Treaty、特許協力条約
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、李(イ)、半田(いずれも日本語可)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195