知的財産ニュース 不妊人口20万人の時代、不妊治療剤の開発が着実に続く
2018年5月15日
出所: 韓国特許庁
不妊治療剤の国内特許出願件数が10年間8倍に増加
韓国特許庁によると、不妊に悩む夫婦のための不妊治療剤に関する特許出願が着実に続いている。2008年から2017年までの10年間、不妊治療剤に関する特許出願件数は計258件であった。年間で少ない場合は17件、多い場合は34件が出願され、毎年平均26件が出願されていることが分かった。
不妊治療剤を種類別に見ると、合成化合物が48%(124件)と最も多く、バイオ医薬品40%(102件)、天然物11%(29件)の順であった
出願人を国籍別に見ると、過去10年間、外国人による出願が70%(181件)を占めているが、これは海外の製薬先進国で不妊に対する医学的関心が高まったためとみられる。注目すべきは、韓国人による出願は2008年には2件に過ぎなかったが、2017年には16件に増えたことである。この背景には、不妊治療剤に対する韓国の製薬業界および学界の活発な研究活動があるだろう。
特に、天然物では韓国人による出願の割合が90%(26件)を占めていることが明らかになった。これは、漢方薬、民間療法のような韓国の伝統医学の知識をベースにし、国内の研究所や企業が外国に比べて活発な研究活動を進めているためとみられる。
実際、天然物が特許に登録された例としては、東国大学の漢方病院で処方されている菟絲子、トックリイチゴ、高麗人参、クコの実、トウキなどが配合された漢方薬が着床率を上げる不妊治療用途で特許登録を受け、広東製薬で出願した生地黄、茯苓、高麗人参、クコの実などを含む医薬組成物が精子数を増やす不妊男性治療用途で、韓国はもちろん日本でも特許登録を受けたことなどが挙げられる。今後、不妊治療剤市場における天然物医薬品のシェアがどれほど拡大するのか関心が寄せられる。
不妊治療市場を見ると、世界大手製薬会社であるメルク(Merck & Co Inc)の2016年第1四半期の売上高は、不妊治療用排卵誘導剤ゴナールエフ(Gonal-f)により17%増となった。中国の不妊治療剤市場が2013年の約1500億ウォン規模から毎年20%以上、急成長していることを考えると、不妊治療剤市場の規模や潜在力は拡大すると見込まれる。
特許庁薬品化学審査課の課長は「少子化が進むなか、赤ちゃんを切に願っている不妊夫婦を助けることができる治療剤の開発は、家庭の幸福は言うまでもなく、人口減少が加速する韓国の国家的生存のためにも非常に重要」と強調し、「不妊治療剤開発の重要性や市場価値を見極め、研究所や業界全体で新技術や知財権の確保にさらに取り組まなければならない」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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