知的財産ニュース 再生可能エネルギーにも第4次産業革命の波が

2018年5月8日
出所: 韓国特許庁

人工知能を融合した再生可能エネルギーに関する特許出願が大幅に増加

韓国特許庁によると、人工知能を融合した再生可能エネルギーに関する特許出願件数は、2006年から2017年まで計253件である。2006年〜2012年には年平均11件余りあったが、その後着実に増え、2016年40件、2017年47件に達することが分かった。

第4次産業革命時代を迎え、人工知能に関する研究が活発になったことや最近の環境にやさしい再生可能エネルギーの拡大傾向がかみ合い、関連特許出願件数が急増したとみられる。

出願人別に見ると、サムスン電子(20件)、韓国電力公社(15件)が目立ち、次いでドイツのシーメンス(6件)、エネルギー技術研究院、韓国電子通信研究院、KDパワー(以上5件)の順であった。他の中小企業(75件)の出願も活発であることが分かった。

技術別に見ると、発電所、電力系統全般の状態の診断(98件)、需要予測および管理(58件)、発電装置の制御(41件)などに出願が集中され、電力網制御(26件)、発電量予測(23件)、バッテリー充放電の制御(7件)関連の出願件数はやや少なくなっている。

再生可能エネルギーの拡大とともに、従来の化石エネルギーを減らすためには、正確な発電量予測に連携したバッテリー充放電の制御、電力網制御が不可欠であるため、これは残念だといえるだろう。

最近、アルファ碁を公開して有名になったGoogleのディープマインドは、英国の電力会社と協力し、人工知能を融合した電力網制御を通じて、英国全体の電力コストを10%まで削減するプロジェクトを進めており、IT企業に変貌したGE、IBM、シーメンスをはじめ、米国、欧州の複数の企業・機関で人工知能を融合した再生可能エネルギー技術の研究開発を進めている。

韓国にも世界的な太陽光発電モジュールの生産企業(注1)と人工知能の特許出願企業(注2)があるため、この分野の融合による成長の可能性は十分である。人工知能は従来の産業分野と融合することで、多くの付加価値を生むことができる。そのため、再生可能エネルギー分野の全般にわたって技術開発と特許取得のための努力が求められる。  

特許庁エネルギー審査課の課長は「政府が2030年までに再生可能エネルギーによる発電比率を20%にまで引き上げることにしたたけに、今後、韓国における再生可能エネルギー市場はさらに拡大するだろう」とし、「このような再生可能エネルギーの拡大が化石燃料や電力コストの削減など、実質的な効果につながるためには人工知能を融合した技術と関連する特許を積極的に確保し、再生可能エネルギー分野の効率を高めなければならない」と訴えた

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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