知的財産ニュース 特許庁、「国際特許調査業務」中心機関への成長を推進
2018年5月3日
出所: 韓国特許庁
PCT国際調査の依頼を拡大するために「PCT国際競争力強化策」を作る
韓国特許庁は、国際知的財産市場(IP-Market)に積極的に進出するための案の一つとしてPCT国際調査量の拡大に向けた「PCT国際競争力強化策」を作り、発表した。この背景には、国際調査機関間の競争の激化により、外国から韓国に依頼するPCT国際調査量が持続的に減少したことがある。
PCT国際調査とは、出願人が希望する国の特許庁を選択して先行技術調査業務を任せ、それに基づいて特許を取得したい国での特許登録の可能性を事前に調査することである。PCTの 加盟国152カ国の中で、国際調査機関として指定されたのは23カ国の特許庁のみである。特に5大特許庁(日米欧中韓)がPCT国際調査の94%を行っている。2017年のPCT出願で韓国は世界5位となったが、国際調査量シェアでは世界第4位となっている。
特許庁が最近作った「PCT国際競争力強化策」は、価格競争力の向上と、国内段階への進入時におけるインセンティブ提供のために、(1)韓国特許庁で国際調査を行った件が韓国国内段階に入ると、審査請求料を現行の30%から70%に拡大して減免(注1)し、(2)優先審査申請を可能にして迅速な審査サービスを提供し、(3)政府の新南方政策の枠の中で、ベトナム、インドネシアなどASEAN諸国などが依頼したPCT国際調査は、国際調査の手数料を大幅に減免(注2)することである。
また、郵便、電子メール、ファックスなどで処理されて不便であった関連業務を大幅に見直し、「ワンストップPCT英文ポータルシステム」を提供する。これにより、出願人は書類提出・手数料の決済などをオンライン上で簡単に処理することができ、国際調査の結果の閲覧などについて一括照会することもできる。
また、特許庁は、ミャンマー、ブルネイなどASEAN諸国とインド(新南方政策)、UAE、イラン、トルコなど中東諸国(中東政策)、日本、カナダ、ブラジルなどが、韓国特許庁をPCT国際調査機関として指定するように国際調査サービスに対する協力を積極的に推進する計画である。
特許庁の審査人員は50%以上が博士レベルの審査官であり、韓国語だけでなく、英語、日本語、中国語文献を検索する能力が優れている。さらに、半導体・光学・BMなどの技術分野では、韓国、日本の特許文献の割合が高いため、アジアの文献などの検索を希望するPCT国際調査の海外需要が高い。
特許庁特許審査企画局の局長は「韓国はPCT国際調査量の約40%以上を海外から依頼を受けるなど、審査競争力を対外的に認められている」とし、「PCT国際競争力強化策はロシア、シンガポールなどの市場参加と欧州特許庁の積極的な市場攻略政策などにより、競争が激化している「PCT国際調査市場」で韓国の地位をさらに強固にするだろう」と述べた。
注記
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審査請求料を70%減免する場合、特許出願1件当たり、約784 USDの減免効果がある
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途上国の出願人を対象にPCT国際調査料を減免:75%減免、約305 USD予想(現在は1,280 USD)
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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