知的財産ニュース PM2.5がもたらしたマスク全盛時代
2018年3月27日
出所: 韓国特許庁
使い捨てから脱し、フィルター交換型、スマート型など、防塵マスク関連の特許出願が活発
韓国特許庁によると、最近5年間(2013年〜2017年)のマスクに関する年平均出願件数は、その前の5年間(2008年〜2012年)の80件に比べ、41%以上増の113件となっている。
年度別の特許出願の推移を見ると、2009年に99件とピークを迎えた後、減少傾向に転じたが、2015〜2017年に特許出願が100件以上と急増した。
これは、PM2.5の1級発がん物質指定(WHO、2013年)、中東呼吸器症候群(MERS、2015年)など、PM2.5の有害性に対する認識の向上や呼吸器疾患の流行により、マスクに対する関心と需要が高まったためとみられる。
最近10年間の出願人別の動向を見ると、個人60%、企業37%、大学およびその他3%と、個人による出願の割合が高いことが分かった。一般の人がマスクをつけながら思い出した、生活の中のアイデアを出願する場合が多いためだろう。
マスクは機能面で、①PM2.5、粉塵、感染性ウイルスなどを遮断する防塵マスク、②有害物質を除去する防毒マスク(又はガスマスク)、③寒さを防ぐ防寒マスクに分かれ、各機能を兼用することもある。最近5年間(2013年〜2017年)の分野別の特許出願を見ると、防塵マスクは全体の出願の3分の2に相当する66%、防毒マスクは20%、防寒マスクは14%を占めている。
多数を占める防塵マスクの場合、交換式フィルター、ファンモーターなどの空気清浄機の技術を取り入れたマスク50件、空気の汚染度を常時確認できるスマートマスクなど、モノのインターネットと結合したマスク38件が出願されるなど、最新の技術を適用して高級化している。
一方、ペット用マスクや子供用フィルター交換式マスクなど、特定の消費層をターゲットにしたマスクも特許出願され、製品として発売されている。これは、個人の幸せを重視する傾向、1〜3人家族の増加など、コト消費の拡散や家具の小型化に伴う消費市場の変化が反映されたとみられる。
特許庁住宅基盤審査課の課長は「大気汚染が画期的に改善されない限り、当面、韓国をはじめ、中国などの海外マスク市場も持続的に成長するだろう」とし、「機能やデザインを重視する現代人のニーズに合わせて技術を開発し、特許権を確保すれば、国内外の市場を先取りするとともに雇用創出に寄与すると見込まれる」と述べた。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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