知的財産ニュース ブロックチェーン、中核・標準特許の確保が急務

2018年3月21日
出所: 韓国特許庁

最近、ビットコインなど暗号通貨に対する関心が高まり、その技術的基盤であるブロックチェーンに関する特許出願件数も世界で爆発的に増加していることが明らかになった。

韓国特許庁によると、調査時点(2018年1月末基準)まで知的財産の先進5カ国(IP5、韓国・米国・日本・中国・ヨーロッパ)に提出され、公開されたブロックチェーンに関する世界の特許出願件数は、1,248件であった。

特許出願量は多くないが、2009年にブロックチェーンが初めて実装されて以来、2013年の27件から毎年2〜3倍増加し、2015年には258件、2016年には594件(未公開出願は除く(注1))に達することが分かった。

出願人を国籍別に見ると、累積件数では米国が1位となっているが、2016年以来、中国が年間特許出願件数で米国を抜いて1位となった。近い将来、累積件数でも中国が1位を占める見通しである。

G2(米国、中国)に偏っている現象も激しく、米国と中国が全体の特許出願のほとんど(78%)を占めており、3、4位となった韓国と日本のシェアはそれぞれ8%、3%に過ぎなかった。

一方、特許出願の質的水準を示す間接指標である海外出願の比率では、米国が中国を大きく引き離して首位を守った。

*(全出願のうち、海外出願のある割合)米国(44.98%)、中国(2.97%)、韓国(23.23%)、日本(16.67%)

主体別では、全世界のブロックチェーンに関する特許出願の81%を企業が主導しており、米国では銀行などの金融企業による特許出願も活発である。

*金融企業が出願人である割合:米国16.3%、中国5.5%

韓国では大企業よりベンチャー企業などの中小企業の割合(66.7%)がはるかに高いという特徴を見せ、今のところ金融企業による特許出願はないことが分かった。(2018年1月末時点で公開された特許出願)

*(ブロックチェーン分野における韓国人の出願比率)中小企業(66.7%)、個人(19.2%)、大企業(6.1%)、 大学(6.1%)、中堅企業(2.0%)

*(全技術分野における韓国人の出願比率、2017年)中小企業(22.5%)、個人(19.9%)、大企業(16.3%)、 大学(8.5%)、中堅企業(5.1%)、公共機関(4.7%)

主な出願人を見ると、米国のBOA(Bank of America)が1位となり、Bubiネットワークなど中国のフィンテック企業4社がTop 10に名を連ねた。韓国の暗号通貨関連企業であるコインプラグは2位となった。   *(全世界の主要出願人)BOA(45件)、コインプラグ(44件)、IBM(24件)、Bubiネットワーク(20件)、マスターカード(19件)

ブロックチェーンの基本概念は既にOpen Sourceとして公開されているため、誰も特許を取得することができない自由技術である。したがって、特許出願は主にセキュリティ、運用、活用などの周辺技術を中心に行われている。

特に、ブロックチェーンが暗号通貨から物流・医療・公共サービスなどへと活用範囲が徐々に拡大し、特許出願もその活用分野を中心に増加するとみられる。

*(暗号通貨分野)(2014年、32件)→(2015年、46件)→(2016年、60件) (暗号通貨を除く活用分野)(2014年、0件)→( 2015年には、19件)→(2016年、75件)

韓国では暗号通貨の取引分野の比重が相対的に高いため(注2)、米国や中国のようにブロックチェーンベースのサービス分野(スマート契約(注3)など)へとR&D投資を転換する必要があるだろう。

ブロックチェーンは最近になって浮上した技術であるため、標準特許は皆無であり、国際議論もまだ初期段階である。

2017年から国際標準化機構(ISO、ITU)で関連議論が始まり、現在はセキュリティ、医療情報管理、デジタル通貨など、ブロックチェーン全般にわたって議論が行われており、韓国もETRI、KAISTなどが主なメンバーとして参加している。

特許庁産業財産政策局の局長は「ブロックチェーン分野は現在、技術開発の初期であるため、今が中核・標準特許を先に取得する適期だろう」とし、「R&D関連部処との協業により、中核・標準特許を確保することができるよう、特許ビッグデータ分析を通じたR&D戦略策定など、特許戦略コンサルティング事業を積極的に支援したい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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