知的財産ニュース 平昌オリンピックのドーピングテスト、バイオ禁止薬物を摘発せよ

2018年1月26日
出所: 韓国特許庁

平昌冬季オリンピックを2週間後に控えているなかで、オリンピックで問題となってきたドーピング(doping)に注目が寄せられている。

平昌冬季オリンピックのドーピング禁止薬物は約400種に及び、その中でバイオ禁止薬物は約50種が含まれている。バイオ禁止薬物とは、ペプチドホルモンや成長因子のように主にタンパク質からなる薬物で、人体のタンパク質に類似し、尿中に排出される量も少ないため、ドーピングテストが難航している。

そのため、バイオ禁止薬物の高感度分析のために、最近は血液試料からバイオ禁止薬物とのみ選択的に結合する「抗体(antibody)」を用いる分析手法が脚光を浴びている。

韓国特許庁によると、バイオ禁止薬物を分析する抗体に関連する特許出願件数(注1)は2015年以降、急増し、2017年には2015年比で39%増えたが、バイオヘルスケア産業の成長に伴う次世代診断技術が進歩することで、今後も増加傾向は続くとみられる。

過去8年間(2010〜2017)の出願人別の動向を見ると、外国人による出願件数は計2,139件と、全体の79%を占めている。これは、グローバルバイオ企業による抗体分野に対する研究開発および投資が活発に行われているためであろう。

ドーピングテストでバイオ禁止薬物を分析することができる抗体では、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を分析できる抗体関連の出願件数が最も多く(90件)なっている。次いで、類似したインスリン様成長因子-1(IGF-1)および肝細胞増殖因子(HGF)を分析できる抗体関連の出願件数がそれぞれ27件、15件となり、成長因子を分析する抗体に関連する出願が大多数を占めることが分かった。

特許庁バイオ審査課の課長は、「最近、生体内に存在する物質と区別がつかない、さまざまなバイオ禁止薬物を用いたバイオドーピング(bio-doping)が各種スポーツ大会で問題となっているため、このようなバイオ禁止薬物について、きめ細かく分析することができる、先端のバイオ分析技術に関する特許出願は、今後、さらに増加するだろう」とし、「当該技術分野に関連する知的財産権の確保は、市場で優位に立つ上で重要な手段であるため、韓国企業も関連技術に対する研究開発および投資を継続的に拡大し、早急に権利化することが何よりも重要だ」と強調した。

特許庁では優秀な技術を保有する企業の特許創出能力を強化するために、知的財産権に関わる研究開発戦略の策定を支援している。特に、海外進出を支援するために、各海外市場に合わせた知的財産戦略を継続的に提供している。

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