知的財産ニュース 知財権戦略で核心サービスを持つグローバル企業を育てる

2018年1月23日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁は、中小・中堅企業が既存の製品にサービスを融合させ、新たなビジネスチャンスを創出し、グローバルな企業に成長するよう後押しする知財権(知的財産権)戦略支援を進める。特許庁は「2018年グローバルな技術革新IP戦略開発」事業の推進計画を確定し施行すると発表した。

「グローバルな技術革新IP戦略開発」とは、既存の特許分析と研究開発を連係させるための戦略(IP-R&D)を今年から第4次産業革命の分野に合わせ、さらに発展させたもので、製品とそれに融合する新成長サービスの知財権確保を通じて中小・中堅企業の革新的なビジネス創出を支援する事業である。

今年は、昨年より5.9%増の46億ウォンの予算で43の中小・中堅企業を支援し、製品とサービス融合戦略型、サービス戦略型、製品戦略型など、3つの課題類型で運営する。

業種・分野間の境界が消える第4次産業革命時代に、顧客は技術・製品自体よりも最終的には効用を購入するといえるだろう。R&Dでも技術革新に劣らず、顧客の効用をさらに高めるためのビジネスモデルの革新が重要になり、その代表例はICT技術を利用して新しいユーザー経験を提供する「サービス」を製品に融合させることである。

例えば、運動器具メーカーの場合、運動器具に関するデータをクラウドに保存しておき、いつ、どこで運動器具を使っても、モバイルアプリで運動内容を管理することができるサービスを提供すれば、顧客を自社製品につなぎとめる効果(lock-in effect)はもちろん、それ自体が新たなビジネスモデルになり得る。

しかし、このような革新サービスは、アプリケーションやソリューションだけで簡単に模倣できるため、結局、ビジネスのアイデアを保護できる知財権の確保が事業の成否を左右する。

配車サービス世界最大手のウーバーと民泊仲介サイト大手のエアビーアンドビーは、ビジネス保護に知財権戦略をうまく活用した事例である。ウーバーは料金の算出方法、ユーザーインターフェイス(UI)などについて、数百件の特許・デザインを先取りすることで、競合会社がこのような便利な機能を利用できないようにした。エアビーアンドビーも宿泊施設の予約に関する特許を取得しておくことで、後発組の参入を妨げるか、遅らせることができた。

一方、知的財産権に対する認識が低い中小企業は、ビジネス方法、ユーザー経験(UX・UI)などのサービス知財権の確保を疎かにしているため、大手企業などによる技術奪取に露出されている。そこで、政府の積極的な支援が必要である。

こういった背景から、特に、「製品とサービス融合戦略型」では、特許・市場・使用者およびサービスシナリオの分析を通じ、新たなビジネスモデルの発掘としっかり保護するための製品およびサービスの知財権の確保を支援する予定である。

「サービス戦略型」では、特許分析を行い、企業が保有する技術を適用できるサービスプラットフォームを探し出し、アプリケーション・ソリューションの開発戦略も立てる。

「製品戦略型」では、製品本来の機能のほか、インターネットにつながった時にサービス機能を提供できるコネクテッドデバイス(connected device)(*)などの開発に向けたすべての知財権戦略を支援する。
*例えば、必要なレシピをインターネットでダウンロードして活用できるスマート炊飯器など

特許庁産業財産政策局の局長は「第4次産業革命により、ビジネスモデルも技術・製品中心からモノのインターネットやビッグデータを利用するサービス中心に軸足を移すだろう」とし、「サービス融合に向けた知財権戦略で中小・ベンチャー企業の革新成長を支援していきたい」と述べた。

「2018年グローバルな技術革新IP戦略開発」事業に参加を希望する企業は、韓国特許戦略開発院の事業管理システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じてオンラインで申請できる。上半期の申請期限は1月26日までである。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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