知的財産ニュース 特許庁、最近5年間における政府のR&Dの特許成果を発表

2018年1月22日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁と韓国特許戦略開発院は、最近5年間(12年〜16年)、政府の研究開発(R&D)事業を通じて創出された「特許成果」を調査・分析(注1)した結果を発表した。

注1 最近5年間の(1)政府のR&D事業で創出された全ての特許出願件数(計132,703件)の現状、(2)大学・公共研の技術移転(計32,995件)の現状を調査・分析

量的・質的水準および活用の現状

2016年の国内特許出願件数は30,807件、国内特許登録件数は16,670件と、政府のR&Dにより創出された特許の量は、最近5年で最も高い数値を示した。

一方、政府のR&Dにより創出された登録特許(12年〜16年)の質は、依然として低いことが分かった。

政府のR&Dにより創出された国内特許と外国人による国内特許を比べた結果、優秀な特許(注2)の割合は約60%(注3)にとどまった。
注2(優秀な特許)特許評価システム(SMART3)の9等級評価で、上位3等級の特許
注3(優秀な特許の割合)政府のR&D 27.3%、外国人による特許43.1%

また、外国出願をした国の数でも外国人による国内特許の約20%に過ぎない(注4)。
注4(外国出願をした国の数)政府のR&D 1.6カ国、外国人による特許6.9カ国

国内特許ではなく、米国登録特許について分析しても、韓国政府のR&D米国登録特許の質的水準は、米国連邦のR&Dよりも全体的に低い(注5)ことが明らかになった。
注5(優秀な特許の比率)韓国政府のR&D 6.1%、米国連邦のR&D 18.6%、(被引用文献の数)韓国政府のR&D 4.3件、米国連邦のR&D 8.1件

一方、大学・公共研が保有する政府のR&Dにより創出された特許の技術移転契約件数は、2016年には3,485件と、最近5年間、年平均21.4%ずつ大幅に増加した。

また、大学・公共研の技術移転の際、政府のR&Dによる特許が含まれる場合、契約当たりの技術料が1.4倍に増加(注6)したことが分かった。
注6(契約当たりの技術料)全体22.7百万ウォン、政府のR&Dによる特許を含む契約30.6百万ウォン

分析結果および示唆点

政府のR&Dによる特許の低い質的水準を向上させるためには、外国出願の取得に向けた体系的な支援が必要であることが明らかになった。

外国出願がある政府のR&Dによる特許(12年〜16年)は、政府のR&Dによる特許全体より質的水準と特許技術移転の割合が約2倍高くなっている(注7)。
注7(優秀な特許の割合)外国出願がある場合27.3%>政府のR&Dによる全特許11.7%、(特許の移転率)外国出願がある場合20.7%>政府のR&Dによる全特許11.2%

特に、大学のR&Dによる特許の質的水準は、各大学の特許予算規模と密接な関係があることが分かった。

特許費用支出規模が大きい上位グループ(1〜20位)は、下位グループ(81位以下)に比べ、優秀な特許の割合が約6倍、1件当たりの技術料は約3倍以上、高くなっている(注8)。
注8(上位/下位グループ)優秀な特許の割合(%)14.9/2.4、1件あたりの技術料(百万ウォン/件)21.9/7.0

このように、大学の特許予算規模は、特許の質的水準と技術料に大きな影響を与えるため、各大学が適正水準の特許予算を確保できる制度改善が必要であろう。

公共機関では、保有期間が長い、いわゆる「高年金登録特許」に対する精密診断を行い、活用可能な有望特許だけを選び抜く「保有特許診断体系」の導入が必要であることが分かった。

それは、「高年金登録特許」の場合、特許維持費用が増える負担はあるが、優秀な特許は、1件当たりの契約金額が非常に大きいためである。また、古い特許は、技術移転件数も少ない(注9)上、安価で売り渡す割合も高い(注10)。一方、一度技術移転が行われると、高価で売られる場合が多いことが明らかになった(注11)。
注9 特許技術移転件数:(登録〜3年)9,066件→(6年〜9年)1,395件
注10 安価(無償/1千万ウォン以下)で売り渡す割合(%):(登録〜3年)46.0%→(6年〜9年)77.7%
注11 特許1件当たりの契約金額:(登録〜3年)44.2百万ウォン→(6年〜9年)47.3百万ウォン

特許庁は、この調査・分析の結果を科学技術情報通信部などの研究開発部処に提供し、国家研究開発の全過程に特許成果に対する分析結果が活用されると同時に、R&Dの制度改善に反映されるよう、支援する予定である。

特に、今年は政府のR&D特許成果の分析に基づき、科学技術情報通信部と共に、政府のR&Dにおける課題と特許成果の関連性の検証および質的水準の評価案づくりなど、質的水準の向上のために制度改善を進める計画である。

特許成果を調査・分析した結果は、誰でも確認できるように2018年1月末、特許庁のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます政府のR&D特許成果管理システム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公開する予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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