知的財産ニュース 特許庁、3Dプリンティングファイルの不正流通防止、AR・VRでの知的財産権侵害防止などに向けた制度改善を推進

2018年3月8日
出所: 韓国特許庁

第4次産業革命にいち早く対応するための政策課題の議論・推進

韓国特許庁は、3Dプリンティングファイル、ビッグデータなどの無断流通行為防止、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)での知的財産権侵害防止、ブロックチェーン技術の知的財産分野への活用など、知的財産における政策課題を積極的に推進し、第4次産業革命にいち早く対応していく方針である。

特許庁は3月7日(水曜)午後3時、特許庁ソウル事務所(江南区駅三洞)大会議室で「知識財産未来戦略委員会第3回フォーラム」を開催し、第4次産業革命における新技術の発展に対応するための知的財産権法・制度の改善と政策課題について議論した。

知識財産未来戦略委員会は、「超連結・超融合」という第4次産業革命がもたらす巨大な変化の流れの中で知的財産の未来を予測し、先んじて推進すべき知的財産の政策課題を模索し導き出すために、知的財産法制度、IT、バイオなど、さまざまな分野の民間専門家からなる政策協議体である。

同委員会は昨年7月に発足し、昨年10月と11月にフォーラムを2回開催し、第4次産業革命時代の知的財産政策課題について議論した。

今回の第3回フォーラムでは、これまで議論されたビッグデータ、3Dプリンティングなど、第4次産業革命の新技術の発展に伴う制度改善の課題を整理して推進案について議論した。また、最近、話題になっているブロックチェーン技術の現状と知的財産分野に適用した事例についても議論した。

まず、3Dプリンティングデータの無断提供を防止するなど、デジタル・ネットワーク環境下での知的財産制度改善を推進する。

近年、3Dプリンターの普及とともに、特許製品の3Dプリンティングデータの不正流通など、デジタル技術による特許侵害の発生が懸念されているが、現行の特許法ではこれに対する法的保護が困難な状況である。

これを受け、特許発明の課題解決に不可欠な手段を提供する行為を新しい侵害類型として新設するなど、デジタル手段による侵害も特許侵害に含まれるよう、特許法の改正を推進していくことにした。

次に、VR・ARでの知財権侵害を防止し、ビッグデータ保護を強化するための制度改善を検討・推進していくことにした。

VR・ARで発生するデザイン模倣行為は、現行の規定上、デザインを模倣した物品を提供する行為のみがデザイン権侵害と規定されているため、防止するのが難しい。しかし、今後はデザイン権侵害に含める策を設け、AR・VRで他人の商標価値を損ねる行為を防止するための制度改善策も検討していくことにした。

ビッグデータの活用が急増すると予測される中、これに対する保護手段を強化するために、ビッグデータの不正使用・流出行為を不正競争防止法上の不正競争行為の類型として新設する案と、「ビッグデータ登録・取引センター(注1) 」を設置して運営する案も、中長期的に検討していくことにした。

さらに、最近、世界的に活用範囲が広がっているブロックチェーン技術の現状と、それを知的財産政策に活用する案についても論議した。

この日、インターネット振興院ブロックチェーン拡散チームのチーム長は、「ブロックチェーン技術と知的財産政策」と題して講演を行い、金融、医療、物流、行政など、さまざまな分野に広がっているブロックチェーン技術の現状を紹介し、知的財産行政文書システム管理、正規品証明管理、知的財産取引システムなどの知的財産分野でブロックチェーンを活用できる案を提案した。  

他にも人工知能が開発した特許発明の保護、バイオヘルス発明に関する特許制度など、中長期的な検討が必要なイシューについての議論も行われた。

フォーラムに出席した特許庁長は、「第4次産業革命は、技術の競争であると同時に制度の競争である」とし、「今回のフォーラムで議論された課題は、重要性と緊急性を考え、3Dプリンティングデータの不正流通防止などの対応が急がれる課題については迅速な法制度の改善を推進し、人工知能やビッグデータなどの他の課題についても踏み込んだ検討を行い、第4次産業革命に先んじて対応していきたい」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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