知的財産ニュース 人間と疎通する「ソーシャルロボット」の特許出願が急増

2017年4月25日
出所: デジタルタイムズ

人間と疎通し、自律的に行動する「ソーシャルロボット」に対する関心が高まる中、最近産業界を中心に特許出願が急増している。

25日、韓国特許庁によると、ここ5年間(2012~2016年)出願されたソーシャルロボットに関する特許は計51件に達した。特に人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)など先端ICT技術に注目が集まり始めた2013年以降、特許出願が活発に行われている。

特許出願件数を年度別に見ると、2012年と2013年に7件ずつあったが、2014年9件、2015年12件、2016年16件など、毎年、特許出願件数は継続的に増加しており、ここ2年間の出願件数は過去2年に比べ75%も増加するなど大幅に増えている。

ソーシャルロボットは人とコミュニケーションできる能力を持っており、情緒的に相互作用が可能なロボットとして高齢化や家族解体などの社会問題に対応し、医療や家事を支援するなど福祉向上を図る上で重要な役割を担当すると期待を集めている。

出願人別に見ると、企業が全体出願の51%(26件)を占め最も多く、次いで大学・研究所が41%(21件)、個人8%(4件)などの順だった。注目すべきは企業による出願割合が過去5年間(2007~2011年)の29%からここ5年間(2012~2016年)は51%へと約2倍増加した一方、大学・研究所による出願割合は同期間66%から41%へと大きく減少した。

これは人工知能やロボット工学の発展に伴い、ロボットの活用範囲の拡大による市場規模の急成長を見込み、企業が技術開発に積極的に取り組んでいる結果だと分析できる。

出願技術の動向を見ると、単純な反復機能を行う「器具・制御技術」の割合が61%から31%へと大幅に減少した。一方で、対照的に人間の表情から感情を認識し、自然と会話をする「データ認識・処理技術」の割合は32%から49%へと増加した。これはソーシャルロボットに関する技術開発トレンドが、単なるロボット機能を超え、周辺状況や人間の感情を把握し、相互作用する方向に変わっていることを示す結果だ。

特許庁ロボット自動化審査課長は、「ソーシャルロボット市場がまだ初期段階であるだけに単純な機能を繰り返すロボットから脱し、人工知能やモノのインターネットなど先端技術をロボット技術と融合させ、差別化される製品およびサービスを開発し、これを権利化につなげることが重要だ」と述べた。

特許庁は、ソーシャルロボット分野における知財権の競争力の強化に向け「国家の特許戦略をめぐる青写真の構築事業」を通したR&Dの方向性を提示し、ソーシャルロボット競進大会と知財に関するコンサルタントを持続的に進めている。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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