知的財産ニュース 欧州統合特許法院の設立に向けた動きが本格化

2017年1月31日
出所: 韓国特許庁

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欧州の統合特許法院協定(Agreement on United Patent Court、UPCA)の発効への道筋がつけられ、今年末には統合特許法院の運営が開始される見通しとなった。
EU単一特許制度(Unitary Patent)※の導入と並行して推進されている統合特許法院制度は既存の「欧州特許」と新たに導入する予定である「EU単一特許」に対する侵害事件と無効事件を担当する特許法院をパリ、ミュンヘン、ロンドンに設立することを柱としている。

※欧州特許庁(EPO)に英語、ドイツ語、フランス語のうち1つの言語で作成された出願書を提出して特許に登録されれば、EU加盟国全体において特許の権利行使が可能な制度のこと。既存の「欧州特許」はEPOの審査結果、特許が付与されれば、各国の言語に翻訳して国ごとに登録手続きを行うことが必要である。

当初2016年に各国の条約批准手続きを完了し、2017年初めには運営を開始する予定だった統合特許法院制度は、批准が必ず必要なイギリス、ドイツ、フランス3カ国のうち、フランスだけが批准を完了した状態でイギリスがブレグジット(Brexit)を宣言したことによって施行が不透明になった。

しかし、イギリス政府がUPCA批准の意思を2016年11月に表明し、12月にはドイツがUPCA批准に向けた立法手続きを再開することで、関連準備を総括している統合特許法院準備委員会(Preparatory Committee)は今年12月から統合特許法院を運営する計画であることを公式に発表することになった。

準備委員会は、UPCAの発効に向けた最初の準備段階のUPC臨時適用段階(Provisional Application Phase)が今年5月に開始される予定であり、これによって職員及び判事の任命、管理組織を含めた関連機関の設立などの措置が進められる予定だ。

また、統合特許法院が設立された後、本人が保有している欧州特許に対する管轄権が統合特許法院で一定期間(7年)扱われないことを希望する権利者には2017年9月初めからUPCの施行日まで最小3ヵ月間、忌避申請(Opt-out)ができる期間を提供する計画という。

特許庁のパク・ヨンジュ国際協力課長は「欧州統合特許法院の設立計画が具体化しているのは不確実性の解消の面からみると肯定的だ」と評価し、「韓国企業がEU単一特許と統合特許法院の施行有無やその時期について持続的にモニタリングすることが必要である」と強調した。

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