知的財産ニュース KOTRA、2016年IP‐DESK実績を発表

2017年2月24日
出所: KOTRA

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「韓国企業A社は、最近参加したドイツの有名アウトドア展示会で、ドイツにデザイン権を持っている自社製品と同じデザインのドイツ製品が堂々と展示されているのを見てびっくりした。途方にくれていたA社はドイツ・フランクフルトにあるIP-DESKに助けを求めた。直ちに現場を訪ねたIP-DESKの専門職員は綿密に検討した後、侵害と判断し、ドイツ政府に迅速な措置を要請した。展示会場に駆けつけたドイツ税関は、ドイツ会社の侵害品目60個を押収し、罰金1,500ユーロを賦課した。韓国企業の模倣品が海外でPR・販売されるところだったのをIP-DESKによって止めることができた。

自由貿易協定(FTA)及びグローバル韓流時代を迎え、海外においても商標、デザイン権などの知的財産権が重要性を増している。こうした中、IP-DESK(海外知財センター)が前述の事例のように海外における知財権保護の中核の役割を果たしている。

KOTRAは、特許庁と共同で2009年から海外での韓国企業の知的財産権保護に向け、IP-DESKを設置・運営している。韓国企業の進出が活発化していて模倣品の流通が多い国を中心に設置されたIP-DESKは、2017年現在、中国、タイ、ベトナム、アメリカ、ドイツ、日本など、計6カ国12カ所のKOTRA海外貿易館で運営されている。

2016年IP-DESKでは、計6,841件の知財権相談に乗り、1,114件の海外商標・デザイン出願及び15件の侵害調査を支援した。今年も引き続き、知財権相談、商標・デザイン出願、知的財産権の税関登録、被害実態調査・取り締まり、侵害鑑定書の作成支援など、海外における韓国企業の知財権保護のための取組を進める予定だ。特に、今年は中国、ベトナム及びドイツのIP-DESKに弁護士や弁理士などの資格を持つ専門家を新たに採用し、一層向上したサービスを提供する計画だ。

また、IP-DESKは現地の事情に応じて、国ごとにオーダーメード型重点事業を推進している。

全体の半分である6つのIP-DESKが設置されている中国の場合、模倣品の撲滅に向けた予防及び取り締まりに焦点を合わせて事業を推進している。オンライン流通プラットフォームの知財権担当者と中国の取り締り公務員を対象に、模倣品の真贋判定方法を教育する説明会を2回(2016年4月と7月)開催した。これをきっかけに、ギャラリーエイエム(ファッション雑貨)、韓国人参公社(高麗人参製品)など韓国企業の模倣品について、中国取締りの公務員が自発的に取り締まる成果が得られた。相談の80%以上が商標権侵害や商標出願など模倣品対応関連であり、化粧品や衣類のような消費財の模倣品の中国内製造及び流通は依然として横行している。

毎年300回以上の主要展示会が開催され、韓国企業の展示会参加が多いドイツに場合は、展示会の現場相談を通じた紛争予防に焦点を当てている。企業220社が参加した「2016デュッセルドルフ医療機器博覧会」を含め、2016年に計23回の博覧会で360件の現場相談、6件の商標出願及び9件の侵害調査の支援を行った。

ユン・ウォンソクKOTRA情報通常支援本部長は「韓流ブームとともに海外知識財産権がさらに重要になった時点に、企業が知識財産権保護に対する心配なく輸出ができるようにIP-DESKを通じた支援をさらに強化していく」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
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