知的財産ニュース 海外特許出願、これからはインターネットで便利かつ簡単に

2017年9月26日
出所: 韓国特許庁

これから特許協力条約(PCT)を通じて海外に特許を出願する場合、インターネットで簡単に出願書類を作成できるようになる。

  • 特許協力条約(PCT、Patent Cooperation Treaty):色々な国にそれぞれ特許を出願する手間を解消するために締結した国際条約。一度のPCT国際出願で多数の加盟国に直接出願する効果がある。

韓国特許庁は世界知的所有権機関(WIPO)と協力し、10月1日からePCTサービスを韓国国内出願人に提供すると発表した。ePCTとはインターネットでPCT出願書を作成し、出願進行状況を出願人が直接リアルタイムで照会できるPCT情報システムである。

これまでは出願人が直接自分のコンピュータにPCT出願書作成用ソフトウェア(PCT-SAFE)をインストールし、WIPOから電子署名用証明書の発行を受けなければならないなど、準備手続きが多少複雑だった。また、最新法・制度が適用されたPCT書式を利用するためには、出願人が個人のPCにインストールした同ソフトウェアを3ヵ月ごとに自分でアップデートしなければならなかった。

一方、インターネット基盤のePCTを利用する出願人は、ソフトウェアのインストールやアップデートなど、わずらわしい作業が必要なくなる。

ePCTを利用するためにはWIPOのePCTウェブサイトに接続してユーザーアカウントを生成した後、ログインすればいい。ログイン後はユーザーアカウントの盗用と不正利用を防止するための追加認証手続きが必要だ。追加認証手続きは携帯電話のショートメールまたは、スマートフォンに設置可能なワンタイムパスワード(OTP)アプリを利用して簡単に行うことができる。

出願書作成を完了した後、PCT電子出願用最終電子ファイルを生成する際に電子署名が必要となる。ePCTでは既存のWIPO証明書を利用した電子署名方式だけでなく、本人の名前を英文で記載する文字列入力方式も可能だ。そのためePCTを利用すれば、今後はWIPO証明書の発給を受けて更新する手間がなくなることになる。

ePCTのすべての機能を問題なく使うには、Internet ExplorerかFirefoxのウェブブラウザを使わなければならない。Google ChromeとアップルのSafariも使えるが、今の時点で一部の機能が正常に動作しないことがある。

特許庁は国内出願人が簡単にePCTを利用できるように10月中にソウルと大田で無料のePCT活用研修を行う予定だ。また、各地域のPCT出願人のために11月の釜山を皮切りに地方巡回説明会も開催する予定である。

  • ePCT活用研修日程:10月19日ソウル発明振興会、10月26日大田国際知識財産研修院

ePCTの使用中に疑問が生じれば特許庁コールセンター(1544-8080)やWIPOのePCT顧客センターに連絡すればいい。WIPOのあるスイス現地でも韓国人が直接ePCT顧客相談を支援する予定である。

  • WIPO ePCT顧客センター:+41-22-338-9523、pct.eservices@wipo.int
WIPO PCT運営1チーム(韓国語相談支援):+41-22-338-7401、pct.team1@wipo.int

一方、ePCT電子出願サービスが始まっても従来のPCT-SAFEソフトウェアを利用したPCT出願サービスも来年9月末まで並行して提供する。

特許庁長は「これまで海外特許出願時に多少不便だった部分が今回のePCTサービスの開始を通じてかなり解消されることを期待している」とし「韓国の出願人が海外でより手軽に特許を取得できるよう、今後もWIPOはもちろん、海外特許庁と緊密に協力していく予定だ」と述べた。

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