知的財産ニュース シアリス用量無効訴訟、大法院へ

2017年2月24日
出所: 電子新聞

勃起不全治療薬シアリス(成分タダラフィル)の用量を制限した「用量特許」の無効訴訟が大法院で再び争われる見通しだ。

シアリス用量特許を保有したエコス・コーポレーション側の訴訟代理人は2月24日、大法院に上告状を提出すると明らかにした。これに先立って、エコス・コーポレーションは、特許を無効と言い渡した特許審判院の審決に不服して特許法院に訴訟を提起したが、特許法院で敗訴判決を受けた。訴訟代理人側は、敗訴判決の原因や今後の訴訟戦略については明らかにしていない。

今回の事件は、医薬品の用量・用法発明を特許構成要素として認めた大法院全員合議体の判決後、進歩性判断基準が問題となった最初の事件として注目を集めた。特許法院はシアリス用量特許には、特許成立要件である進歩性がないと判示した。通常の臨床試験で用量を調べることができるという理由からだ。

法院は、発明が属する技術分野において一般的な知識を保有している人(通常の技術者)が先行発明から簡単に開発することができると判断したら、進歩性を認めない。特許法院は「医薬物の投与用量・周期など投与方法の最適化は、原則として通常の技術者の通常の創作能力範囲内に属する。特定の投与用法や用量が通常の技術者が予測する範囲を著しく超えたり、これを先行発明から予測することができない場合に、進歩性が否定されない」と説明した。さらに、「争点となった特許技術は、通常の技術者なら、臨床試験を通じて最小の副作用の下で最大の効果・薬理効果を得られる用法・用量を調べることができる」とし、進歩性がないと判示した。

今回の訴訟は、シアリスのジェネリック医薬品を作っている複数の製薬会社が特許審判院にタダラフィル用量特許(登録番号1005770570000)の無効審判を請求したことから始まった。2015年9月、シアリス成分のタダラフィル物質特許が終了し、約60社の製薬会社がシアリスのジェネリック医薬品を発売したが、用量特許は2021年までに有効であるため、ジェネリック医薬品に依然として進入障壁となっていた。特許審判院は2015年10月に特許を無効と決定し、特許権者であるエコス・コーポレーションがこれに不服して特許法院に訴訟を提起したが、受け入れられなかった。

訴訟で勝った製薬会社は、韓美薬品など20社だ。今回の判決で、シアリスのジェネリック医薬品を発売中の国内の製薬会社は、特許侵害の負担から抜け出すことができると期待されていたが、エコス・コーポレーションの上告で大法院の判決まで見守らなければならなくなった。

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