知的財産ニュース 中小企業向け知財活用戦略支援事業を実施

2017年2月7日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁は、優秀な知的財産(IP)を保有していても専門人材と資金不足などを理由に事業化に困難を抱える中小企業の隘路事項を積極的に解決するために、今年55余りの課題(32.3億ウォン)を選定して最長5ヵ月のIP活用戦略コンサルティングを支援する知的財産活用戦略支援事業を実施すると発表した。

2016年は計53社の企業が支援を受けており、知的財産製品革新課題の支援を受けた(株)先進床(ソンジンマル)などが大きな成果を挙げた。

※事例:(株)先進床は20年間床財を専門に生産してきた会社で、防音が必要だったり、電線設置が複雑な電算室、電気室、放送スタジオなどに使用される床材であるアクセス・フロアパネルを生産してきた。ところが、床の上下版の締結部分と横のパネルを締結するコーナーロックボルトが歩行などによる衝撃発生時に緩み、床版全体の耐久性が下がる問題点があった。これを解決するために上下版の締結工法を新たに開発し、従来の四角バーリング※を円形バーリングに変更して衝撃を分散させることで、緩みを防止し、耐久性を増大させた。また、ボルトの緩みを解決するために、ボルトヘッドの下部に突出部を追加で構成して締結力や振動抵抗力を画期的に改善した。

※バーリング(Burring):平判に穴を開けてその穴より大きな直径を持つパンチを通すことで穴に耳(突出部分)を作る作業

こうした成果をもとに、(株)先進床はトルコ国籍の会社と2016年10月に約50億ウォン余りの購入意向書を締結し、現在は台湾、シンガポール、日本、ベトナムにも輸出契約を進めている。これは、特許庁で開発した「IP製品革新方法論」※を適用して技術的問題を解決したからこそ可能だったとされる。

※製品や技術的問題を革新的に解決するために、異種分野の特許検索や創意的問題解決方法論(TRIZ)を活用して開発した方法論

2012年から施行している本事業は、知的財産観点から製品・デザイン・事業化に対する戦略コンサルティングを提供し、毎年市場の環境変化やニーズを踏まえた新規課題を発掘して、中小企業の隘路事項を解決している。特に、今年は第4次産業革命時代に合わせて融合型製品革新が行われるように異種技術の融合を通じて新規製品開発も支援する予定だ。

特許庁は、中小企業の実務者が効率的にIP製品革新戦略を活用できるようにマニュアルを作成してオンラインを通じて普及する計画だ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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