知的財産ニュース 特許庁、2017年職務発明活性化事業を実施

2017年2月17日
出所: 韓国特許庁

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職務発明制度とは、企業が従業員の職務発明の権利を継承する見返りに、従業員に正当な補償を行う制度である。企業は、特許などR&Dに対する成果を安定的に確保し、従業員は研究の努力に対する補償を受けることになる。今日では、特にコア技術や人材の流出を防止するための手段としても注目されている。しかし、特許担当人員が不足している中小企業は、職務発明制度を導入・運営するのに困難を抱えている。このような企業には、特許庁が施行する「職務発明活性化事業」を活用することを進める。

特許庁の職務発明活性化事業は、制度説明会や制度を導入した企業の隘路事項の解消のための専門家コンサルティング、職務発明補償優秀企業認証制度などを主な内容としている。

大企業・中堅企業のほとんどは職務発明制度を導入しているが、中小企業は2016年時点で制度を導入した割合が46.8%にとどまり、半分にも及ばないことが分かった。これは、中小企業の経営者の多くが関連制度を知らないか、又は職務発明補償を投資ではなく費用として認識しているためだ。このような認識を改善するために特許庁は、年間約30回にわたる説明会を開催する計画だ。地元企業のCEO会や個別企業から要請があれば、制度の専門家が派遣され、職務発明制度の導入の必要性や方法などについて案内する計画だ。

また、企業が実際に制度を導入する過程において、法律に定められている手続きを遵守し、企業の現実に合う継承規定や補償規定を作成できるように、弁理士・会計士などの専門家を活用したコンサルティングを支援する計画だ。

一方、職務発明制度を導入した企業を対象に、補償の実績などを審査して補償の実績が優秀な企業を認証する職務発明補償優秀企業認証制度も運営する。認証を受けた企業は4-6年分の特許料を50%まで減免を受けることができる上、特許技術事業化支援事業など一部の政府支援事業を申請する際に、加算点を受けることができる。

職務発明補償優秀企業認証に対するインセンティブ

  1. 4-6年分の特許料、実用新案登録料及びデザイン登録料50%減免
  2. 特許・実用新案の出願及びデザイン登録出願に対する優先審査
  3. 政府支援事業参加時に加算点を付与
    特許庁
    民間IP-R&D戦略支援、特許技術の戦略的な事業化支援事業
    未来部
    SW工学技術現場適用支援事業
    中企庁
    企業成長促進、融・複合技術開発事業、商用化技術開発事業

その他にも、職務発明専門家フォーラムを通じて制度改善に関する建議事項を聴取し、職務発明補償の優秀事例を発掘してPRするなど、職務発明の活性化に向けた様々な取り組みが行われる予定である。支援事業に対する案内及び申請は職務発明制度のホームページを通じて可能となる。

特許庁のキム・ヨンソン産業財産政策課長は「職務発明に対する正当な補償によって従業員の技術開発の意欲が高まれば、企業としても優秀なR&D成果の創出が可能となり、中核人材や技術の流出も防止することができる。企業と労働者の共生のための職務発明制度の導入がさらに拡大するよう、努力を続けたい」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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