知的財産ニュース 悪質なドローンを捕まえるアンチドローン(Anti-Drone)

2017年3月30日
出所: 韓国特許庁

悪質なドローンに対する脅威認識が広がり、いわゆる「アンチドローン」という空中セキュリティパラダイムが注目を浴びている。

特許庁によると、アンチドローン技術に対する国内での特許出願が始まった2013年以降、過去4年間(2013~2016)のアンチドローン技術に対する出願が増え続けていることが分かった。

アンチドローンとは、テロや犯罪、プライベート侵害や監視、操作ミスによる事故を起こす悪質なドローンを無力化するドローンである。

アンチドローンは、特定の空域に入ってきた小型の物体を探知し、それがドローンであるか、あるいは鳥などの飛行体であるかを識別する。その後、承認を得ていないドローンによる侵入であることが分かれば、それを無力化するのがアンチドローンの中核技術だ。

ドローンの探知は主にレーダー探知やドローンの無線通信を認知する方式で行われ、無力化には主にジャミング(Jamming)方式が利用される。

アンチドローン技術に対する韓国国内での特許出願統計を具体的に見ると、2013年には出願件数が1件に過ぎなかったが、2014年には9件、2015年には17件、2016年には19件と、特許出願件数が増加傾向にあることが分かった。

又、これを出願主体別に分類すると、通信分野の他の技術とは異なり、46件のうち個人及び中小企業による出願が約63%(29件)と最も多くなっており、次いで大学15%(7件)、政府出捐研究所13%(6件)、大企業9%(4件)の順だった。

韓国でのドローンに関する特許出願件数は2013年に126件、2014年に149件、2015年に389件だった。それに対し、アンチドローンの中核技術ともいえるドローンを無力化する技術は、韓国では2016年までに12件の特許が出願されたが、米国では同期間約60件が出願されその差は5倍に達する。

国内企業によるアンチドローン技術の開発や市場参入は、グローバル企業に比べ盛んに行われていないのが現状だが、

国内の電波法上、軍や一部のインフラ施設を除いた民間施設で行われるジャミングが違法であることがその一因とみられる。

これは中国政府が新成長産業を育成するために、規制緩和政策を展開して商業用ドローン市場で圧倒的なシェアを獲得しているのとは対照的である。

特許庁の通信ネットワーク審査課長は「北朝鮮からの脅威を含め、軍事スパイやテロへの脅威、産業スパイによるリスクが高い韓国にとっては、アンチドローン技術の開発が急務だ」とし ドローン市場の規模が急成長していることを考えれば、悪質なドローンによる脅威を減らすアンチドローン技術の開発と知的財産権を先取りする努力が求められる」と述べた。

又、「法整備による規制緩和と政策支援でアンチドローン技術を開発する環境づくりに向け取り組む必要がある」とも述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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