知的財産ニュース フィンテックの発達に伴い、電子マネーに関する商標出願が増加

2017年12月27日
出所: 韓国特許庁

決済手段として電子マネーが利用される中、現金やクレジットカードの代わりにスマートフォンで交通費を払ったり、インターネットやオフラインでショッピングをする姿はもはや珍しくなくなった。

※電子マネー(electronic cash、電子貨幣):一般的なICカード又はネットワークに接続されたコンピュータに銀行預金やお金などが電子的方法で保存されたもので、現金を代替する電子的な支払手段

韓国特許庁によると、最近の4年間(2013年〜2016年)で電子マネーに関する商標の出願件数は、2013年の9件から2016年には79件となり、8倍以上に増加した。今年も10月時点での出願件数が計149件となり、前年同期(67件)比、約222%増加したことが分かった。

「金融(Finance)」と「技術(Technology)」が結合されたフィンテック(Fintech)技術の発達により、さまざまな分野で管理しにくい現金の代わりに電子マネーを簡単かつ安全に使用できるようになった。また、最近はスマートフォンに電子マネー機能をインストールして使うモバイル電子マネー市場(*)も拡大しているため、関連商標の出願が急増したとみられる。

*韓国銀行(中央銀行)と金融監督院によると、2017年8月時点で5大モバイルペイメント会社の決済額は10兆1,270億ウォンとなった。

出願人の類型別では、全体325件のうち、中小企業が97件(29.8%)と最も多く、続いて大手企業96件(29.5%)、個人73件(22.5%)の順であった。特に、中小企業と個人の場合、2016年にそれぞれ21件と12件に過ぎなかったが、2017年(10月時点)にはそれぞれ59件と38件が出願され、3倍近く増加した。これは、技術の発達により、必要な人的、物的コストおよび電子金融業登録に必要な最低資本金が減るなどの規制緩和が行われたためだと考えられる。

一方、商標登録では、大手企業(56件、45.5%)の割合が中小企業(21件、17.1%)や個人(11件、8.9%)を上回った。これは、中小企業や個人の場合、他人の商標と類似した標章や商品の性質や特性などを直感で分かるような表示のみでできた標章を多数出願したため、登録を受けることができなかったとみられる。

特許庁商標デザイン審査局長は「フィンテック(Fintech)技術の発達に伴い、電子マネーに関する商標の出願が増え続けると予想される」とし「電子マネー市場の規模拡大により、競争も激しくなっているため、安定的にビジネスを展開するためには関連商標権を先取りしなければならない」とアドバイスした。

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