知的財産ニュース 透明な発熱ガラスに関する特許出願が増加傾向

2017年12月26日
出所: 韓国特許庁

寒い冬、車のフロントガラスにできた霜と結露(曇り)を取るために、ヒーターをつけて待つ必要がなくなった。最近、熱線が見えない透明なガラスを瞬時に加熱する技術に関する研究が活発に行われている。

韓国特許庁の集計によると、透明な発熱ガラスに関する特許出願件数は、この10年間、計192件あった。2006年以降、毎年10件ずつ出願され、2014年には32件、2015年には45件と、出願件数が増えてきた。このような傾向は、新素材の発熱体を適用して製品を生産する技術に関する出願が急増したためだと明らかにした。

以前から車のリアガラスに装着したニクロム電熱線は、運転の視界を妨げるため、フロントガラスには適用できない。初期に出願された透明な発熱ガラス技術は、ニクロム電熱線の代わりに、主にインジウムスズ酸化物(ITO)で作られた超薄膜型面状発熱体を利用した。しかし、ITOは電気伝導性と光の透過性に優れる一方、材料が高い上、簡単に壊れるため、大面積のガラスを生産することは容易ではなかった。ITOの欠点を克服するための研究は、夢の新素材として脚光を浴びているグラフェンとカーボンナノチューブが登場することで急進展した。柔軟でかつ剛性を保つ新素材のおかげで、最近は低電力でガラスを80°に瞬間加熱する、完成度の高い生産技術が出願され、透明な発熱ガラス製品の発売を早めた。

出願人別では韓国人(115件)が外国人(77件)を上回り、出願主体別では企業(137件、71%)が研究所(19件、10%)、大学(16件、 8%)、個人(20件、11%)に比べ、突出して多い。出願件数上位出願人ではサンゴバンガラス(フランス、51件)、LG化学(19件)、パル(8件)、エクサテック(6件)、韓国機械研究院、TGOテック、コーロン・インダストリー(各4件)の順である。

特許庁電子部品審査課の課長は「透明な発熱ガラスはエンジン熱がないため、ヒーターをつけると消費電力が激しい電気自動車には欠かせないものであり、その用途は車両のほか、太陽熱集熱板、航空機、ヘルメット、ゴーグルなど多岐にわたる」とし「市場を先取りするためのメーカー間の技術競争はより激しくなるだろう」と述べた。

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