知的財産ニュース 特許庁、特許権の存続期間延長制度に関する研究報告書を発刊

2017年12月14日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁は最近、製薬特許の分野で重要な話題となっている許可などによる特許権の存続期間延長制度(以下、「存続期間延長制度」という)に対する研究結果をまとめ、2017年政策研究報告書「特許権の存続期間延長登録出願制度の運用に関する外国の法制、判例および問題に関する研究」(主管研究機関:CnP特許法律事務所)を発刊した。

医薬および農薬(以下、「医薬品など」という)の特許発明は、薬事法などの規定による許可や登録なしに、その発明を実施することはできない。特に、新物質を有効成分とする場合、許可などのための安全性および有効性の検証に長期間がかかる。存続期間延長制度とは、医薬品などの発明が他の技術分野の発明に比べ、特許権を行使できる期間が短い特許権者の不利益を補償するために、5年の範囲内で存続期間を延長する制度を意味する。

存続期間の延長の対象となる特許は、商業的に成功を収めたブロックバスター医薬品がほとんどであるため、韓国の製薬業界や国民保健に及ぼす影響が大きい。さらに、最近、医薬品許可・特許連携制度が施行され、存続期間関連審判および訴訟請求が急増した。今年に存続期間が延長された特許権に関する事件に対し、特許法院の特別裁判部(*)の審理および判決宣告があったことからもこの制度の重要性を知ることができる。
*特許法院の特別裁判部:特許法院長が裁判長、特許法院の部長判事2人が陪席判事となって参加する裁判部であり、社会的な影響力が大きい事件を担当する

特許庁は、このような社会的雰囲気および存続期間延長制度にかかわる現行の法令・審査基準の再整備の対内外的な要求を考慮し、存続期間延長制度に対する政策研究を行い、研究報告書を発刊することになった。研究報告書には韓国、米国、日本、欧州、豪州、カナダにおける存続期間延長制度に関する法令および制度の運用状況が比較・整理されており、各国の最近の判例が主な争点(**)別に分類・分析されている。また、存続期間延長制度に対する業界の要件事項および意見を聴取するために行ったアンケート調査の結果も盛り込まれている。
**主な争点:延長対象となる特許、延長の基礎となる許可、延長された特許権の効力、延長期間の算定方法

存続期間の延長制度は米国で1984年に初めて実施されて以来、韓国では1987年に施行され、現在、十数カ国で実施されているか、導入を準備している。研究の結果、各国で運用されている存続期間延長制度は、医薬品など発明の特殊性を考慮し、特許権の存続期間を延長するという基本概念を除き、国ごとに運用実態が異なることが明らかになった。これは、存続期間延長制度が各国の製薬産業などの現実および競争力、保健医療政策が反映される特殊な制度であるためと考えられる。そこで韓国の実情に最も適した制度を導出するためには、いくつかの国の制度を参考にする必要性がある。

この研究報告書は、医薬の研究開発に携わっている製薬業界、研究所および学界をはじめ、存続期間延長制度関連の弁理士業界、法曹界にとっても有用であるほか、今後、存続期間延長制度に関する法令・審査基準の改善策づくりに重要な参考資料になるものとみられる。

研究報告書は、来年の初頭、特許庁図書館を含む国公立図書館に配布される予定であり、オンナラ政策研究ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて電子ファイルの形でも閲覧できる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195