知的財産ニュース 特許庁、「現場に必要なIP-R&D戦略」を発刊
2017年11月20日
出所: 韓国特許庁
韓国特許庁と特許戦略開発院は、研究開発における「現場に必要なIP-R&D戦略」という事例集(以下、事例集)を発刊すると発表した。
両機関は特許(IP)情報を活用する研究開発(IP-R&D)戦略を中小企業や大学‧公共(研)などに提供してきた。特許について、これまではR&Dの成果物と考えてきたが、R&Dの過程でも活用できるというパラダイムシフトが起こり、一定の成果を収めた。特許ビッグデータ(特許情報)には技術的問題に対するさまざまな解決策があり、技術変化の方向も容易に把握できる有用なデータであるためだ。
このように蓄積したIP-R&Dの方法論を分かりやすく説明し、優秀な支援例を厳選して本にまとめた。
この事例集では2008年から2016年までのIP-R&D支援を総論と優秀な事例に分けてまとめた。
「総論」では支援事業のR&Dの段階に応じ、中小企業は新事業、新製品など成長戦略に基づき、大学‧公共(研)はR&D方向、IP創出などのIP戦略に基づき、IP-R&Dの方法論を類型化し、「優秀な事例30選」では支援例をもとに、特許情報を活用した問題解決過程など、実質的な解決策を示した優秀な事例からなる。
これまでの支援の結果(11〜15年、企業向け支援)、IP-R&Dを活用したR&D課題は他のR&D課題に比べ、優秀な特許の割合(*)が倍増し、R&Dコスト削減が削減されるなど、経済的効果も収めた。
*特許分析評価システム(SMART3)の9等級評価結果のうち、上位3等級の割合
しかし、限られた予算などにより、より多くの企業や研究機関を支援することはできなかった。特に、IP-R&D戦略を最も必要とする中小企業に対しては、今年まで1,300社以上を支援してきたが、これは2015年時点で研究開発活動を行っている企業の2.9%に過ぎない。
*特許分析評価システム(SMART3)の9等級評価結果のうち、上位3等級の割合
これを受け、R&Dを行う企業などが自らIP-R&Dの方法論を習得し、研究開発の現場に適用できるよう、この事例集を発刊することになった。
本に盛り込まれた10年間、蓄積されたIP-R&Dノウハウを活用してR&Dのパラダイムシフトを起こせば、特許の観点から非常に良い研究開発の結果を引き出し、研究開発の効率性を高めることができるとみられる。
この事例集はIP-R&D支援事業への参加企業や協力機関などに配布され、韓国特許庁と特許戦略開発院のホームページ(*)では電子ファイルを提供し、IP-R&Dの方法論の普及に努める予定である。
特許庁産業財産創出戦略チームのチーム長は「IP-R&Dの支援を受けていない企業にもIP-R&Dの方法論を伝播し、企業自らがIP-R&Dを活用できるよう、政策的支援を続けていきたい」とし「IP-R&Dの方法論を開発し続けると同時に高度化させ、IP-R&Dの裾野を広げるために取り組んでいきたい」と明らかにした。
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