知的財産ニュース エネルギー貯蔵装置(ESS)用リチウム二次電池に関する特許出願件数が増加
2017年7月7日
出所: 韓国特許庁
韓国特許庁によると、再生可能エネルギーの発電に欠かせないエネルギー貯蔵装置(Energy Storage System、ESS)用リチウム二次電池に関する特許出願件数が増加していることが明らかになった。
この10年間(2007年~2016年)のエネルギー貯蔵装置(ESS)用リチウム二次電池に関する特許出願件数は計279件あった。年平均の出願件数は07年~10年には16.5件にすぎなかったが、11年~13年には31件、14年~16件には40件と増え続けている。
出願人の動向を見ると、国内出願人の割合は53%と国外出願人より多くなっている。国内出願人の内訳を見ると、企業(78%)が最も高く、次いで大学・研究所(17%)、個人(5%)の順だった。出願件数ではLG化学(59件)、BASF(15件)が多くなっていた。
エネルギー貯蔵装置(ESS)の市場規模は再生可能エネルギー市場の成長に伴い拡大している。
従来の電力体系は、ピーク時の需要に合わせて発電容量を確保するため、電力の需要と供給のアンバランスを引き起こすという問題点があるが、太陽光、風力などの再生可能エネルギーの方は自然に依存する発電であるため、電力生産量の変化幅が大きく、電力の安定供給に問題がある。
しかし、エネルギー貯蔵装置(ESS)を活用すると、電力需要が少ない時間に生産された電力を貯蔵しておき、需要が多い時間に電力を供給する「負荷平準化」により、電力システムの効率を上げることでこのような問題を解決できる。
エネルギー貯蔵装置(ESS)にはリチウム二次電池、NaS電池、レドックス・フロー電池などの電池方式、位置エネルギーを利用する揚水発電方式、フライホイールを利用する機械式方式がある。
このうち、リチウム二次電池は高密度エネルギー、高効率エネルギー、容量が変えられる点などのメリットがあり、エネルギー貯蔵装置(ESS)用に最適だとされる。ただ、他の電池方式に比べ価格が高く、市場拓大におけるネックになっていたが、最近、製造コストが低下し、エネルギー貯蔵装置(ESS)用への導入が盛んだ。
韓国のエネルギー貯蔵装置(ESS)用リチウム二次電池の輸出は最近急増している。輸出増加とともに内需拡大のために、前年比2割以上増の270MWのエネルギー貯蔵装置(ESS)を国内に普及する予定であり、その多くをリチウム二次電池が占めるとみられる。
特許庁エネルギー審査課の課長は「再生可能エネルギーに関心が寄せられる中、エネルギーを貯蔵し、効率的に利用できるエネルギー貯蔵装置(ESS)用リチウム二次電池市場の成長への期待が高まっており、それを受けた韓国企業による特許出願の増加が予想される」と語った。
ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム
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