知的財産ニュース [インタビュー] キム・ヨンホ特許審判院長

2016年10月11日
出所: 電子新聞

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「審判品質は、審判院の存立に関る問題です。審判品質の向上を最優先課題にして最善を尽くします」

10月4日で就任100日を迎えたキム・ヨンホ特許審判院長は「審判官一人一人が全ての事件を丁寧に扱うように全ての力を集中している。審判品質を高めるためには、審判部間の判断の差を最小化し、審判院全体の判断の一貫性を高めることが重要だ」と強調した。

写真:キム・ヨンホ特許審判院長

キム院長は、審判部の垣根を越えて同一の技術分野の審判官で構成した5人の合議体審理を拡大し、審判部間での判断の差を縮めていく計画だ。また、来月の大審判廷を開設し、侵害訴訟と連携した多数の権利審判事件や医薬分野の併合事件等、審判の当事者が20~30人と多い事件は5人の合議体で口述審理を実施する方針だ。

キム院長は、何よりも審判官の疎通と認識の転換が必要と判断し、毎月定期的に審判官を集め審決文を読みながら意見交換をする予定だ。

キム院長は「特許審判院は、知的財産権の有効・無効と権利属否を巡る争いにおいて、高度の技術的争点を扱うという点で実質的な紛争解決の最初の関門といえる」とし、「11の審判部が独立的かつ公正に審判するようサポートしなければならないという重い責任感を感じる」と話した。

キム院長は「特許権利者が市場で権利を行使する際、権利者でない者から挑戦を受ける場合が多い。無効審判等紛争を解決するに当たって、特許権者が不利益を受けないように格別に気をつけている」と強調した。

特に、相対的に弱者である中小企業の事件は、さらに慎重かつ迅速に判断するという意志も示した。5人の合議体で扱う対象を増やすとともに、迅速な処理のために迅速審判制度も充実させ運営する計画だ。

審判品質ばかり強調すると、審判の速度が鈍くなる恐れがある。これについてキム院長は「現在としては速い審判処理のために審判官の増員が最も切実だが、直ちに実現することは困難である」と述べた。

しかし、キム院長は「次善の策として、事件の緊急性によって3トラック(迅速・優先・一般)に分けて審判処理期間を管理しつつ、選択と集中の戦略で迅速な処理が必要な審判事件を選別して最大限早急に処理している」と説明した。

キム院長は「最近、第4次産業革命時代の有望新産業を中心に、分野別・国別の産業体質によって、知財権制度に対する要請が多様に分化している。特許審判を通じて革新の創出と産業の発展を促す知財権保護制度の目的を実現できるように、機関の専門性や審判の適時性及び公正性を高めることに力を尽くす」と強調した。

シン・ソンミ記者 smshin@etnews.com

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