知的財産ニュース サムスンとNVIDIA、GPU関連特許訴訟に終止符

2016年5月3日
出所: 電子新聞

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グラフィックチップを巡るサムスン電子とエヌビディアの間での特許侵害訴訟が1年8ヵ月で解決された。5月2日(現地時間)、米ウォールストリートジャーナルは、両社が米連邦裁判所、国際貿易委員会(ITC)、特許庁に提起した知的財産(IP)権訴訟を取り下げることにしたと報じた。

今回の訴訟戦を最初に始めたのは、エヌビディアだった。エヌビディアは2014年9月、サムスンがグラフィックチップと関連する特許を侵害したとして米国ITCとデラウェア地方裁判所に訴訟を提起した。エヌビディアは、サムスンのエクシノス5とクアルコムのスナップドラゴン805に自社のグラフィック処理装置(GPU)技術が無断で盗用されたと主張した。また、米国政府にギャラクシーS6とギャラクシーS6エッジ等を含めたサムスンスマートフォンの輸入禁止も要求した。これを受けてサムスンも2ヵ月後エヌビディアがメモリ配列方式等、自社の特許6件を侵害したとしてITCと米国バージニア州地方裁判所に提訴し返した。

今回の和解は、両社の紛争と関連し、エヌビディアの一部の製品に対し輸入禁止措置が下されるとみられたITCの最終判定の数時間前に行われた。これに先立って、ITCは昨年12月、エヌビディアがサムスンのグラフィック処理に係る特許3件を侵害したという予備判定を下し、この日最終判定を確定する予定だった。ITCは、特許侵害製品について米国輸入を禁止できる権限を持っている。双方の和解により、米国への輸入禁止措置はなかったことになった。詳細な合意内容は、明らかにされていない。和解金が渡されたどうかについても公開されていない。

エヌビディアは声明を発表し、「両社は、小規模クロスライセンス契約を締結する予定だ。しかし、全般的なクロスライセンス契約ではなく、その他の補償もない」と明らかにした。サムスンは、ウェブサイトに「公正な和解によって今回の紛争を解決することができ、嬉しく思う」と伝えた。

これに先立ち、先月には激しい競合関係にあるマイクロソフト(MS)とグーグルが、世界各国の規制当局に起こした訴訟等をすべて取り下げることにした。MSのサティアナデラ最高経営者(CEO)とグーグルのスンダーピチャイCEOは、22日に発表した声明において、欧州とアルゼンチン、ブラジル、カナダ、インド等で繰り広げてきた特許訴訟等を取り下げる計画であることを明らかにした。

グーグルとMSは昨年、相手方に対する特許訴訟約20件をすべて取り下げることで合意したのに続き、一部の分野では技術を共同開発する等の協力関係を強化している。相次ぐ情報技術(IT)企業による特許訴訟取下げは、これまで主力だったスマートフォンやパソコン市場が昨年から急激に低迷している状況を受け、訴訟戦はもう会社に得にならないという判断を下したためとみられる。

クォン・サンヒ記者 shkwon@etnews.com

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