知的財産ニュース 世界は今、営業秘密流出と戦争中

2016年5月24日
出所: 韓国特許庁

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今年1月に日本は営業秘密法令を改正して施行し、4月には欧州連合(EU)が営業秘密指針を策定、5月11日には米国が営業秘密保護に関する新しい連邦法を改正する等、営業秘密保護制度の強化に向けて先進諸国が迅速に動いている。

「Defend Trade Secrets Act (営業秘密保護法)」と名付けた米国の新連邦法は、個別の州ごとに相違であった営業秘密保護の規定を連邦レベルに統一させ、侵害が発生した場合、特許や商標のように連邦裁判所で直ちに提訴できるようにした点が最も大きな特徴である。

※連邦管轄選択時に全国に渡る訴状の申請、出国禁止命令の申請、外国の被疑者召喚等が可能となり、州裁判所より包括的で強力な対応が可能

また、この法によると、不法で得た営業秘密は、国内だけではなく外国において使用しても処罰を受けることになり、被害者側の一方の申請だけでも侵害物の押収が可能となった。

日本も営業秘密を海外に流出させる行為について、国内流出よりも強力に処罰できるよう変更し、違反行為に対する罰金も最高個人3千万円、企業10億円と大幅上向きに調整した。

また、営業秘密を国外において不正にアクセス・取得し、又は営業秘密の奪取・流出が未遂に止まった場合でも処罰できるようにする等、処罰の対象行為を拡大した。

一方、欧州連合(EU)も去る4月14日に営業秘密の定義、不法行為の範囲、救済手段等を規定した営業秘密指針(Trade Secrets Directive)を欧州議会において通過させ、欧州単一の強化された営業秘密保護基盤を構築した。

世界的な流れに合わせ、韓国政府も韓国企業の営業秘密を厳重に保護するための制度改善に取り組んでいる。営業秘密侵害行為の類型が多様化することにより、これに対する処罰規定の不備な点を補完し、刑事処罰の実効性を高める予定である。

また、営業秘密侵害時に侵害者に対する証拠提出の義務と悪意的な侵害行為に対する賠償責任を強化する等、民事的な救済手段も共に整備する計画である。

韓国特許庁のパク・ソンジュン産業財産保護協力局長は、「企業間競争の深化や情報通信技術の発達、国家間の活発な人材移動により、産業技術の奪取防止に向けた営業秘密保護の重要性が高まっている。企業レベルで営業秘密保護支援事業を積極的に活用すれば、技術流出の予防に大きく役立つと思う」と述べた。

※韓国特許情報院営業秘密保護センター (www.tradesecret.or.kr, 1666-0521)

参考:米国・日本・EUの営業秘密保護法案の主な内容

米国における連邦営業秘密保護法 (Defend Trade Secrets Act)の新設

※上院(2016.4.4) 及び下院(2016.4.27)を通過、オバマ大統領署名 (2016.5.11)

  • 既存は、州法によって州裁判所に提訴のみ可能だったが、連邦法の追加により連邦裁判所に直接提訴が可能となった。
    ※連邦政府レベルで保護する特許、商標等の他の知財権とは異なり、営業秘密に対する保護は、個別州において規定した法律により行われてきた。
  • 営業秘密保有者側一方の (ex parte) 申請による侵害物押収命令(civil seizure)を許容する等、民事的な救済手段が拡大された。
    ※一方的な押収命令:裁判所が一方の当事者の主張のみを審理し、押収命令を発付する強制執行制度
  • 故意的かつ悪意的な侵害である場合、損害額の2倍まで賠償責任

日本における不正競争防止法の営業秘密保護関連規定の改正

※2015. 7. 3. 公布、 2016. 1. 1 施行

営業秘密侵害罪の罰金型の限度の引上げ及び海外流出加重処罰

備考

改正前

改正後

国内流出

海外流出

個人

1000万円

2000万円

3000万円

企業

3億円

5億円

10億円

  • 不正取得の試み(attempt)、国外において起こった不正取得、不正取得した営業秘密を使用した製品の流通等、処罰対象行為を拡大
  • 最初及び2次不正取得のみ処罰していたものを3次以後の取得者も処罰
  • 営業秘密侵害を通じて得た不正収益を任意的に没収する規定を新設し、営業秘密侵害に対する経済的抑止力を強化
    ※既存においても刑法により没収徴収が可能であったが、没収の対象が物件に限定されている等、手続きの活用度が低かった。

欧州における営業秘密指針(Trade Secrets Directive)の採択

※2016. 4. 14. ヨーロッパ議会(European Parliament) を通過

  • 28のEU 加盟国間において、営業秘密の対象、保護方法及び保護レベル等が相違であったため、効果的な保護が難しかった問題点を認識し、加盟国が守らなければならない最小限の共通規定を構築
  • 「営業秘密及び営業秘密侵害行為」に対する定義規定を導入し、保護対象を明確化にした。
  • EU 加盟国の司法当局は、営業秘密所持者の要請がある場合、侵害疑惑行為に対し営業秘密を通じて生産された物品の流通販売禁止等の予防及び暫定処置を施行
  • 賠償請求規定を申請し、営業秘密不法取得使用流出の結果として発生した実際の経済的影響に対し適切な (appropriate)損害賠償を義務化
    ※悪意的でない(without intent) 取得、使用、流出については法的責任の限度指定が可能

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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