知的財産ニュース 高吸収性樹脂に関する特許出願が増加

2016年11月15日
出所: 韓国特許庁

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最近、中国は所得水準の向上や産児制限政策の緩和により、おむつ市場が爆発的に成長している。中国で使い捨ておむつを使う赤ちゃんの割合は2000年2.2%に過ぎなかったが、2016年には37%に達するとの見通しが発表され、吸収用品のコア素材である高吸収性樹脂の確保に向けた技術開発が注目されている。

特許庁によると、過去5年間(2011~2015)高吸収性樹脂に関する出願件数は計183件で、その前の5年間(2006~2010)の合計58件に比べ3倍以上増えており、毎年出願件数が増加し続けている。

出願人ごとの出願現況

出願人を見ると、韓国人の特許出願が相対的に多くなっており(58%)、外国人は日本、欧州、米国の順となった。韓国人の出願の割合は2011年28%に過ぎなかったのが2014年には65%に上昇し、国内企業が技術開発による市場競争力の確保を積極的に取り組んでいるものとみられる。

主要出願人としては、LG化学がトップとなっており、ドイツのEvonik、BASF、日本触媒(NSCL)等一部の化学企業が多数を占めている(76%)が、これは高度の生産技術が必要な技術障壁の高い分野であるためだ。

技術ごとの出願現況

吸収能、保水能、通気性等の様々な特性が要求される高吸収性樹脂に関する技術は大きく、(1)原料成分及び重合工程と関連する組成物製造技術(47%)と(2)表面架橋、粉砕等、重合された樹脂成分を精密に後処理加工する技術(53%)に区分される。

2011年から2013年までは、素材の保水能の向上に関連した組成物の製造技術が特許出願の主流をなしたが、その以降は保水能だけでなく、吸収能、通気性まで改善させることができる後処理加工技術の割合は次第に増加している。

特に、互いに反比例の関係にある保水能と加圧吸収能を同時に向上させようと、液体と接触する素材表面の架橋密度を調整したり、構造を変換させる後処理加工技術に関する研究が活発に進められているとみられる。

また、人体に完全に無害な製品のために自然に分解したり、皮膚適合性が向上したエコ素材に関する出願も少しずつ増加している。しかし、まだ技術力や価格競争力の面で商用化するのには限界がある。

特許庁のバン・ヨンビョン精密化学審査課長は「高吸収性樹脂は安定的な市場需要を通じて、高付加価値を実現できる素材であり、今後企業間の競争がさらに激しくなる見通しだ。技術開発の領域の幅が広く、応用分野への波及力が大きいため、コア技術の特許を早期に確保することが、今後市場を主導できる早道になる」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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