知的財産ニュース 特許庁、中小企業における職務発明制度の拡大に本腰

2016年2月3日
出所: 韓国特許庁

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中小企業の研究開発(R&D)への投資意欲及び従業員の研究意欲を向上させ、技術及び人材流出を防止するため、特許庁は職務発明補償制度の拡大に積極的に取り組む予定だ。

特許庁は、「2016年度職務発明活性化事業」を通じて職務発明補償制度運営の優秀企業を選定・支援し、制度を導入・運営する中で企業が経験する問題の解決を支援すると発表した。

一般の中小企業は、制度の導入に向けた専門家の支援を受けることができ、また既に制度を運営している中小企業の場合は「補償金関連税金及び特許手数料の減免、特許獲得のための優先審査、政府事業における加算点」等のメリットが与えられるとみられる。

職務発明補償制度とは、雇用契約や勤務規定に従業員の業務上発明を企業が承継するよう規定し従業員に正当な補償を行う制度で、国内企業における職務発明補償制度の導入率は2015年時点で55.6%に止まっている。

※職務発明補償制度導入率の推移(過去3年間):2013年 46.2%、2014年51.5%、2015年55.6%
(出処:2015年知的財産活動実態調査)

特許庁は職務発明補償制度導入率を高めるため、制度の必要性に関する教育及び広報活動を強化し、職務発明補償優秀企業の認定を拡大し、中小企業の事情を踏まえたきめ細かな支援等を強化する予定だ。

まず、知的財産活動が比較的劣っている中堅・中小企業を対象に、制度の必要性(職務発明に係る紛争の予防や企業の優秀人材の離脱防止等の効果)や税金減免(所得税法と租税特例制限法に基づき企業と従業員の両側に税金を減免)等について積極的にPRする他、企業CEO会を活用した地域別CEO説明会を拡大し、職務発明補償制度メンタープログラムを運営する計画だ。

また、職務発明補償優秀企業の認定を大幅に拡大する予定だ。職務発明補償優秀企業の認定とは、模範的な職務発明補償制度を運営する中堅・中小企業を「職務発明補償優秀企業」として認定し、認定を受けた企業には様々なインセンティブを提供する制度である。認定を受けた企業には、特許・実用新案及びデザインの4~6年目登録料の50%減免、優先審査申請手数料の免除、特許庁・中小企業庁及び未来創造科学部の支援事業における加算点等のインセンティブも与えられる見通しだ。

さらに、中堅・中小企業が職務発明補償制度を導入・運営する中で直面する問題の解決を支援するため、職務発明専門家を企業に派遣し、「企業診断→制度導入→問題解決」の全過程関してコンサルティングを行うとともに、職務発明ホームページ(employeeinvention. net)にオンライン コンサルティング申込み窓口を設ける計画だ。

このような職務発明活性化に向けた企業支援に加え、特許庁では企業経営に負担となる規制を見直すという趣旨から職務発明制度の合理的に改善する方策も講じる予定だ。

特許庁のキム・ヨンソン産業財産政策課長は「職務発明補償制度は、従業員と会社が共生できる制度であり、より多くの企業がこの制度を導入できるよう様々な支援を惜しまないつもりだ」と述べた。

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