知的財産ニュース 酸化インジウムスズ代替素材に関する特許出願が活発

2016年1月11日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォン等のタッチパネルに使用される酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)に代えられる代替素材を利用した透明電極フィルムに関する技術開発が活発化している。

特許庁によると、ITO代替素材を透明電極フィルムの素材に利用する技術に関する特許出願は2010年の37件から2014年の92件へと、過去5年間年平均26.4%の高い増加率となる。

現在、タッチパネル用透明電極フィルムの主な素材であるITOについては、主材料のインジウムの埋蔵量が限られており、高価で柔軟性に欠けるという問題点が指摘されている。こうしたことから、ITOの短所をカバーできる金属ナノワイヤーやグラフェン、カーボンナノチューブ等を代替素材として使って透明電極フィルムを製造する方法への関心が高まり、関連特許出願が増加しているものと分析される。

出願人別現況をみると、国内大企業(27.3%)と中小企業(24.0%)及び大学等、産学協力団(24.0%)が特許出願を主導しており、国内企業が透明電極フィルム代替素材の関連技術の確保に積極的に取り組んでいることが分かる。

素材別特許出願割合をでは、金属ナノワイヤーが41.6%、電導性高分子が16.1%、グラフェンが15.2%、カーボンナノチューブが14.4%で、2つ以上の代替素材を混ぜて電極を製造した混合型は12.6%を占めている。

金属ナノワイヤーは、低コストで製造可能で、タッチパネル用透明電極フィルムが求める一定水準以上の光透過度や電気伝導度を容易に達成できるため、他の素材に比べ出願割合が高かった。それに対し、グラフェンやカーボンナノチューブの場合は工程がかなり複雑で、電導性高分子は光透過度や電気伝導度で多少脆弱なため出願が少なかったと分析される。一方、混合型は金属ナノワイヤーを除いた他の素材の出願割合と同じくらいで、代替素材の短所を補完する方法として注目されている。

今後、スマートフォン用タッチパネルの市場規模は、中国やインド等の新興国の市場規模を考慮すると、拡大し続ける見通しだ。ところが、ITOの主材料であるインジウムは世界全体の埋蔵量の70%以上が中国にある上、埋蔵量が限られていることから数年内に枯渇されるとの予測も出ている。これにより、ITOフィルムの安定的な需給及び価格への負担が増大しており、代替素材を活用した透明電極フィルムに関する技術開発は今後さらに活発になる見通しだ。

特許庁の関係者は、「透明電極に使用されるITOを代替できる新しい素材の商用化が急がれる中、代替素材の弱点を克服できる多様な方法を開発する必要があり、代替素材を利用した透明電極関連特許を十分に確保することが求められる」と強調した。

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