知的財産ニュース 特許法改正の主要内容

2016年3月4日
出所: 韓国特許庁

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特許法改正の主要内容

  1. 不良特許の予防に向けた特許検証の強化
    • 特許取消申請制度
      誰でも先行技術情報等の特許取消理由を提供すれば、審判官が判断し、迅速に不良特許を取消
    • 職権再審査制度
      特許決定後でも特許登録前の間に重大な瑕疵を発見したときは、特許決定を取り消し再度審査
  2. 早期の権利確定及び正当な権利者の保護強化
    • 審査請求期間の短縮
      早期の権利決定に向け、5年から3年に短縮
    • 特許権移転請求制度
      他の人が正当な権利者の発明を盗用して特許を受けた場合、裁判所への直接特許権移転請求が可能
  3. その他の制度改善
    • 職権補正範囲の拡大
      迅速な審査のために、些細な記載不備等は審査官が職権で補正して特許決定できるように許容
    • 訴訟手続き中止申請制度
      当事者の申請によって特許に対する審決確定まで侵害訴訟等の手続き中止可能

特許庁は、不良特許の予防に向けた特許検証の強化、早期の権利確定及び正当な権利者の保護強化に重点を置いて改正された特許法が2月29日に公布され、1年後の2017年3月1日から施行されると発表した。

改正特許法は役2年間にわたって専門家委員会や公聴会等、約24回の意見聴取を経た課題を法に反映したもので、主要内容は以下のとおりである。

  1. まず、不良特許の発生を最小限に減らし、誤って登録された特許を早期に整理できるように特許登録前後の特許品質監視を強化する。

    特許登録前後のタイムライン

    国民なら誰でも、特許登録後6ヵ月内に先行技術に基づいた取消理由を提出すれば、審判官が検討して特許を取り消す特許取消申請制度が導入される。
    従来の無効審判制度では、申請人が審判・訴訟に直接係わらなければならなかったため負担が大きかったが、これからは取消理由さえ提出すれば、残りの手続きは特許庁が行うことになる。これによって複雑で手間のかかる無効審判を提起しなくても、不良特許を最小費用・最短期間で取り消すことができるものとみられる。

    また、特許決定後から特許登録前までの間に重大な瑕疵が見つかる場合、審査官が職権で特許決定を取り消して審査を再開することができる職権再審査制度も導入される。 特許審査の品質を高めるとともに、特許の無効の可能性は下げられることが期待される。

  2. 早期の権利確定に向け、審査請求期間を5年から3年に短縮する。

    これにより、特許発明に対する権利確定が遅延される問題が解決されるだけでなく、事業化を準備中の企業等、第3者の特許監視負担も大きく減ると期待される。
    ※(参考)主要国審査請求期間:[米]出願と同時に、[EPO] 2年、[中]3年、[日]3年

  3. 正当な権利者の保護強化に向けた特許権移転請求制度が導入される。

    他の人が正当権利者の発明を盗用して特許を受けた場合、この返還を受けるために、裁判所に直接特許権移転を請求できるようになる。
    現在では、無効審判を提起してその特許を無効にした後、正当権利者が再び特許を出願し審査を受ける煩わしい手続きを踏まなければならない。

    そのため、これからは折角開発した技術やアイデアを盗用されたスタートアップ企業等が迅速かつ便利に特許権を返してもらうことができる見通しだ。

  4. この他に、些細な記載不備等で特許が拒絶される場合や、審査の手続きが遅延される場合を防止するために、審査官の職権補正範囲が拡大される。

    また、当事者の申請により特許審判結果の確定時まで訴訟の手続きを中止させることができる制度が導入され、特許侵害訴訟等で技術専門機関である特許審判院の審判結果を多く活用できるようになる見通しだ。

今回に公布された改正特許法に対する詳しい内容は、特許庁のホームページ(http://www.kipo.go.kr)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにて確認することができる。

チャン・ワンホ特許審査企画局長は「今回の改正は、特許の検証を強化して不良特許を防止することで不要な特許紛争を予防するとともに、特許信頼性を向上させることに重点を置いた」と強調し「正当な権利者が奪取された自分の特許を容易に取り戻せるように制度を補完することで、特許基盤の創造経済の実現に貢献できるだろう」と話した。

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