知的財産ニュース 防振設計に関する特許出願が活発

2016年5月9日
出所: 韓国特許庁

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4月14日、日本九州熊本県に地震が発生した以降、SNS上で地震被害の状況が写った写真が次々とアップされた。

その中で「上から下へと真っ二つに割れたマンション」が話題となったが、このマンションに適用された「エキスパンションジョイント」という耐震工法によって被害を抑えられたことが明らかになり、国内のマンションの耐震設計はどのようにされているかについて関心が高まっている。

国内において建築物の耐震設計基準に関する法令は1988年に初めて導入され、2005年からは3階以上又は延べ面積1千平方メートル以上と拡大され、事実上最近建築されたマンションは全て耐震設計が適用されており、耐震設計技術も大きく発展している。

特許庁によると、「建築物に適用される防振関連特許出願件数」は、2000年代年平均35件から2010年~2015年までこの6年間、年平均94件となり、大幅な増加傾向を見せている。

マンション防振設計の場合、堰と柱の断面を大きく設計する方式の「耐震設計」が一般的だったが、近年は地盤と建築物の間に弾性体等を挿入し、地盤から来る地震の振動を減少させる「免震設計」や地震の振動に対する反力を加える方式により地震の影響を抑える「制震設計」のように、超高層ビルや重要施設にのみ適用されていた工法が一般のマンションにまで拡大され適用されている。

国内初で免震構造が適用されたマンションは、ソウル市瑞草洞にあるTマンションで、この建物には免震のためにボールベアリングと鉛の免震台が基礎に適用されており、金浦市高村邑にあるHマンションは、100%国内技術による免震設計が一般のマンションに適用された初の事例となる。

また、マンションの屋上に設置された付加的な質量体が振動の反対方向に動くようにして建物の中心を取る原理で働く「TMD型制振装置」は、釜山市海雲台区のCマンションに適用されており、減衰器の変形で振動を吸収する「粘弾性ダンパー型制振装置」はソウル市蚕室洞にあるGマンションに適用されている。

一般的に使用される耐震構造が適用されたマンションは、震度6.0程度の地震に耐えられるよう設計されているが、免震や制震構造が適用されたマンションは、震度7以上の大地震まで耐えられるものと知られている。

また、耐震関連中小企業であるA社は、格子状鉄骨フレームに鋼板パネルを交差配置して耐震性能を向上させるだけでなく、本棚としても活用できる「建築物用補強壁」を出願し、B社は、釜山大学産学協力団とともに「ラーメン骨組の層間変形を利用した制震ダンパー」を出願する等、中小企業や大学研究所でも耐震関連研究開発が活発に行われている。

特許庁の関係者は「2000年代に入って、韓国でもマグニチュード5以上の地震が3回も発生している状況下で、我が国も地震の被害から安全とは言い切れない。最近、世界各地で発生した地震による被害規模は、防振設計技術の水準によって大きな差が出るだけに、防振設計技術に関する着実な研究・開発が必要な時点だ」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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