知的財産ニュース 公取委、「知識財産権審査課」の新設を推進

2016年4月5日
出所: 電子新聞

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公正取引委員会がタスクフォース(TF)組織である「情報通信技術(ICT)専担チーム」を拡大した「知識財産権審査課」の新設を推進する。

複雑・多様化したICT分野の不公正行為への対応が目的からである。知財権審査課が新設されれば、特許管理専門会社(NPE)やグローバルICT企業の特許権の乱用による韓国企業の被害の予防にプラスになると期待される。

4月5日政府によると、公取委は、市場監視局の下に知財権審査課を新設することを進めている。昨年2月TFの形で構成され運営されているICT専担チームを拡大・常設組織化する。

公取委がICT分野の不公正行為を監視する常設組織を設置するのは、今回が初めてだ。 ICT産業の成長に伴って不公正行為が増えた現状を反映してのことだ。チョン・ジェチャン公正委員長は2014年末の就任以来、ICT分野の不公正行為に対する監視を強調してきた。

公取委は、すでに一回行政自治部に知財権審査課の新設を要請した経緯がある。昨年ICT専担チームの構成段階から常設組織化を念頭に置いたものとみられる。行自部は、組織の拡大の必要性については認めたが、課の新設までは困難と判断した。こうしたことから、今年2月省庁職制改編により、公取委にグローバルICT及び製薬会社の独占・寡占を監視する担当者2人を増員した。

知財権審査課の新設の再推進は、ICT専担チームが担当したクアルコム、オラクル関連調査の成果とグローバル知的財産権の乱用の拡大等が係わっている。

公取委はICT分野の不公正行為があまりにも複雑・多様で、グローバル企業が係わっている事例が多いため、監視・制裁に専門性が求められるという立場だ。TFのICT専担チームだけで対応するには、専門性と人員が足りないからである。

現在ICT専担チーム所属の人員は10人だが、専担職員は3人に過ぎない。公取委の事務処長(1級)が知チーム長職を務め、市場監視局長、市場監視局所属の課長3人(市場監視総括課、サービス業監視課、製造業監視課)が業務を兼務する。

公取委の関係者は、「ICTは専門分野であるため、あらかじめ専門性を備え準備しないと徹底した対応ができない。事件が発生するたびに、関連する課で業務を担当する形では専門性の確保が難しく、処理するのに時間もたくさんかかる」と説明した。

これまでグローバルICT事件は、処理に長い時間がかかった。マイクロソフト(MS)、コンピューター・プログラムの抱き合わせ販売の件は、2001年通報があってから約5年が経った2006年に制裁の有無を確定した。2006年調査に取り掛かったクアルコムの市場支配力濫用の件も2009年になってようやく最終結論が出た。

業界の関係者は「業界では、公取委の知財権審査課の新設を歓迎する。特許権を乱用して国内ICT企業を攻撃するケースが増えているだけに、公取委の準備が必要だ」と強調した。

行政自治部の関係者は「今月末までに各省庁から組織の新設等に関する意見を受け付ける予定だ。公取委の意見はまだ伝わっていない」と話した。

公正取引委員会ICT専担チームの現況及び知財権審査課の構成案(資料:公正取引委員会)

ユ・ソンイル記者 ysi@etnews.com

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