知的財産ニュース 韓国の標準特許、世界トップ5入りを達成

2016年3月24日
出所: 韓国特許庁

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世界3大標準化機構(ISO、IEC、ITU)[1]に宣言された韓国の標準特許件数(累積)が初めて、ドイツを抜いて世界5位の座に上り詰めた。

特許庁と韓国知識財産戦略院が集計した資料によると、世界3大標準化機構に宣言された標準特許の全体件数は11,107件から12,099件と前年比8.9%増加しており、このうち韓国の標準特許件数は、482件から782件と62.2%増加して全体増加率の約7倍となった。

2009年頃韓国はまだドイツの半分に及ばず、オランダとはわずかな差で6位[2]だった。しかし、この6年間(2009年~2015年)、フィンランド(590→2,539件、4.3倍)と同様急速に増加し(185→782件、4.2倍)、ドイツとの差を狭めてきた結果、いよいよ5位を達成したのである。

主要国の順位を見ると、米国が1位を維持した中で、フィンランドがノキアのアルカテル(フランス)の買収により日本を抜いて2位に上がり、フランスは前年比322件減少し、4位にとどまった。

企業・機関別では、フィンランドのノキア(2,466件)が最多の標準特許を宣言した。国内企業・機関の中では、サムスン電子(360件)が世界3位で最も高い順位を記録し、ETRIは研究機関の中で唯一世界10位(210件、国内2位)となり、中小・中堅企業の中では26件の標準特許を宣言したヒューマックスが世界66位(国内4位)[3]に上がった。

技術分野別に見ると、これまで世界的にコーディング(3,322件)及びマルチメディア通信(2,984件)分野で最も多くの標準特許が宣言された。韓国は、超伝導体接合、走査型プローブ顕微鏡[4]及び通信セキュリティ分野で世界1位であり、特に超伝導体接合と注射プローブ顕微鏡分野の標準特許は、韓国だけが保有していることが明らかになった。

世界3大標準化機構のほかに産業界に影響力の高い、欧州及び北米地域の電気・電子・通信分野の標準を制定するETSI及びIEEE[5]においても、韓国企業・機関が活発に標準特許を宣言しているという。

韓国は、世界3大標準化機構にETSI(8,829件)及びIEEE(95件)まで合算する場合、米国(21,804件)に次いで世界2位まで順位が上がる(9,706件)。ETSIとIEEEに宣言された標準特許は通常3大標準化機構につながる可能性が高く、2017年までの世界標準特許トップ4入り[6]達成への展望はかなり明るいといえる。

ここではLG電子が6,021件[7]と、ノキア(6,482件)、クォルコム(6,301件)に次いで全体の順位が世界3位に上がり、サムスン電子は2,929件[8]と、やや下がった世界7位となる。

特許庁のキム・テマン産業財産政策局長は「遠い未来の話と感じられた標準特許世界トップ4入りへの道筋が見え始めた。これからも関係省庁と協力して中小・中堅企業や大学・公共研究機関の優れた技術が標準特許になるよう支援していく」と述べた。

標準特許の統計は、各種標準化機構の新規標準特許データの更新時点を反映して、半期ごとに作成されており、標準特許センターのホームページ(www.epcenter.or.kr外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にて提供されている。


注記

[1] 国際標準化機構(International Organization for Standardization)、国際電気技術委員会(International Electrotechnical Commission)及び国際電気通信連合(International Telecommunication Union)
[2] ドイツ400件、韓国185件、オランダ173件
[3] 国内3位はLG電子(59件、世界42位)
[4] 尖ったプローブ(Probe)に物体の表面形状を把握(Scanning)して人が見られるようにイメージ化する顕微鏡
[5] 欧州電気通信標準機構(European Telecommunications Standards Institute)、国際電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers)
[6] 標準特許の戦略的な確保案(第9次知識財産委員会の議決、11省庁合同、2013.11)
[7] 3大標準化機構59件、ETSI 5,947件、IEEE 15件
[8] 3大標準化機構360件、ETSI 2,525件、IEEE 44件で、世界7位

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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