知的財産ニュース 特許弁護士会「特許審判前置主義」の廃止に支持表明

2016年10月17日
出所: 電子新聞

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特許弁護士会が大法院の特許審判強制前置の廃止に対する支持を表明した。

大韓特許弁護士会(以下、特許弁護士会)は今月14日「特許等産業財産権の行政審判義務前置主義を見直す必要があるとした大法院の立場を支持する」という声明を発表した。

特許弁護士会は「現行の特許法第186条第6項で『審判を請求できる事項に関する訴は審決に対するものでなければ提起できない』と規定しており、特許無効や権利範囲確認等に関する行政紛争を法院にすぐ提訴することができず、特許審判院の審決を必ず経るように強制した。このような特許審判強制前置制度は、審判任意前置が原則である他分野の行政事件とは異なる」と述べた。さらに、「特許庁の所属機関として特許庁長の指揮を受ける特許審判院が特許庁の決定を再び審判することは矛盾だ」と強調した。

特許弁護士会は「特許審判強制前置制度は不要な手続きを強制し特許紛争の長期化の主な原因となっている。技術判断と関係のない特許存続期間の延長登録無効や商標権・デザイン権紛争も審判前置に強制し紛争が長引く」と話した。また、「このため、国民と企業が高い審判事件の代理人受任料と審判費用を払う等、時間と費用の浪費につながっている」と付け加えた。


ムン・ソンシク大韓特許弁護士会長

特許弁護士会はさらに、「特許審判強制前置は行政の優越という旧時代的な観点から出発したものであり、憲法が保障する三権分立の原則に反しており、国民の裁判請求権を侵害する余地が多い。行政に対する救済は最初から司法に訴えられるようにすべきだ」と話した。また、「米国とドイツ等の司法先進国では、特許無効訴訟を裁判所にまず提訴するようにすることで、国民が裁判所で裁判を受ける権利を守り、特許審判が司法権を侵害する違憲的制度という反省から特許庁による特許審判制度を廃止してきている」と述べた。

特許弁護士会は「審判の任意前置による知的財産紛争の手続きの簡素化・迅速化は特許行政の改善と特許訴訟制度の安定化に向けて必ず実現しなければならない課題だ」と話した。また、「(審判の強制前置の廃止は)アジアで初めて知的財産権専門法院として発足し、世界的に専門性を認められる特許法院への管轄集中と、国会と法院が一緒に推進するIPハブコート推進の趣旨にも合致する」と説明した。

最後に、特許弁護士会は「現行の特許訴訟制度の様々な問題点と改善の必要性に責任を感じており、科学技術大国入りに向けた特許審判強制前置制度の廃止の立法的決断を促す」と述べた。

今年8月にも特許弁護士会は、特許制度の見直しに関する公聴会を開き「特許審判を任意の手続きに変えなければならない」という声明を発表した。これに先立つ7月、ムン・ソンシク大韓特許弁護士会長はIPノミックスとのインタビューで「審決取消訴訟も弁護士のみできるようにしなければならない」という立場を明らかにした。

イ・ギジョン記者 gjgj@etnews.com

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