知的財産ニュース モバイル生体認識技術に関する特許出願動向

2016年10月25日
出所: 韓国特許庁

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指紋と顔を認識するスマートフォンが登場した後、最近では虹彩を認識して本人認証とモバイルバンキングを提供するスマートフォンが登場している。これに伴い、スマートフォン等に適用されるモバイル生体認識技術※に関する特許出願も着実に続いている。

※生体認識技術とは、指紋、虹彩、網膜、顔の形、静脈、DNA等の身体の固有の特性や音声、筆跡、歩き方等の行動の特性を利用して個人を識別する技術のことだ。

特許庁によると、過去5年間モバイル生体認識技術に関する出願を調査した結果、2011年76件から2015年178件と、出願量が大幅に増加した。

生体認識技術は、ほとんどの人に適用可能で、エラー率が非常に低い上、測定対象の身体的変化がなく、データの収集が便利であるという点でパスワードを利用する認証の代替技術として適しており、出願が増加したとみられる。

技術分野別の出願現況(2011~2015年)

技術分野別では、音声認識を利用した技術の出願が270件(43.3%)と最も多く、顔認識を利用して技術が103件(16.5%)、指紋認識を利用した技術が172件(27.5%)、虹彩認識を利用した技術が40件(6.4%)を占めている。

出願主体別の出願現況(2011~2015年)

出願主体別では、LG電子、サムスン電子等の企業418件(67.0%)、個人157件(25.1%)、大学29件(4.7%)、研究機関20件(3.2%)の順となる。

生体認識技術市場の現況

グローバル市場調査機関、トラックティカ(Tractica)によると、世界生態認識市場は2015年20億ドルに達し、2024年149億ドルに達すると見込んだ。 また、AMI(Acuity Market Intelligence)の発表によると、モバイル生体認識技術は2020年48億台のモバイルデバイスに適用されると見込まれる。

センサーの小型化及び精度の向上、スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及拡大、ピンテク・ヘルスケア等IoT基盤サービスの拡大が生体認識市場が成長する主な要因と予想されている。

特許庁の関係者は「今後モバイル生体認識技術は、発展を続けモバイル認証やモバイル決済等生活の一部となり、これに伴って生体情報の偽造・変造の探知技術や生体情報の廃棄後の再発給のための生体情報変形技術に対する特許出願も次第に増加するものとみられる」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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