知的財産ニュース 半導体パッケージのスリム化に関する特許出願が増加

2016年10月19日
出所: 韓国特許庁

461

より薄くて軽いハイスペックの携帯用電子機器に対する需要増加に伴い、ファンアウトウェハーレベルパッケージ(Fan-Out Wafer Level Package:FOWLP)技術が半導体パッケージの小型化トレンドとして浮上している。

ファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術の概要

半導体の製造工程は、半導体材料であるウェハーを利用して集積度の高い半導体チップを作る前工程と複数の半導体チップに配線を連結し樹脂で密封して半導体パッケージを作る後工程に分けられる。これまで後工程は、前工程に比べて付加価値が低いものと認識されてきたが、前工程において半導体チップの集積度を高める技術が徐々に限界に近づいてきており、後工程で半導体パッケージを小型化できるファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術が注目されるようになった。

ファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術は、これまで後工程でチップ配線に欠かせなかった印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)を使用せず、チップとチップの外側の入出力端子を相互に連結させるため、半導体パッケージが薄くなって配線の長さが短くなるとともに、放熱機能が向上し信号の伝送も効率的に行われるという長所がある。

ファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術特許の出願現況

特許庁によると、過去8年間(2007~2014年)ファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術と関連して計177件が特許出願され、2014年には前年(35件)比2倍近く特許出願(66件)される等、最近大幅な増加傾向となっていることが明らかになった。

国籍別では、韓国(65件、37%)、米国(46件、26%)、台湾(25件、14%)、日本(20件、11%)、シンガポール(10件、6%)の順で特許出願が多かった。

最近では、米国と台湾の特許出願が大幅に増加したが、これはスマートフォン向け半導体チップの受託生産事業に新たに参入した米インテル社と、最近発売された米アップル社のi-phone7に入るコア半導体部品を製造し始めた台湾のTSMC社によるところが大きいものと分析される。

企業別では、インテル(米国、21件、12%)、サムスン電子(韓国、18件、10%)、エムコ・テクノロジー・コリア(韓国、17件、10%)、TSMC(台湾、17件、10%)、日東電工(日本、11件、6%)、ステチュチプペク(シンガポール、8件、5%)、ネパス社(韓国、7件、4%)、ハナマイクロン(韓国、6件、3%)の順であることが分かった。

このように韓国、米国、台湾、日本等の各国の企業がファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術に関する特許出願を増やしている状況だが、ハイスペックの携帯用電子機器分野でファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術をめぐる国内外の競争は一層激しくなる見通しだ。

特許庁のジェ・スンホ半導体審査課長は「最近、各国の企業によるファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)技術に関する特許出願が急増している。韓国企業がスマートフォンだけでなく、新たに浮上しているウェアラブル機器とモノのインターネット分野で優位を占めるためには、半導体パッケージの小型化・システム化の核心技術であるファンアウトウェハーレベルパッケージ(FOWLP)の特許出願をより積極的に拡大していく必要がある」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195