知的財産ニュース ポリケトンに関する特許出願が増加

2016年9月20日
出所: 韓国特許庁

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ポリケトンは、自動車有害排気ガスの一つである一酸化炭素(CO)と石油化学系オレフィンの合成により製造される新素材であり、軽くて強い特性から自動車軽量化用のエコ素材として活用するための研究が国内企業や研究所、大学を中心に進められ、関連特許出願も急増している。

※ポリケトンは従来のナイロンに比べ衝撃の強度2.3倍、耐化学性30%以上優秀

韓国特許庁によると、韓国企業が2013年に世界で初めて商用化に成功したポリケトンの製造及び製品開発に関する出願は、国内企業や研究所及び大学を中心に2014年から大きく増加している。

ポリケトンの年度別出願件数は、2006年から2013年まで毎年10~20件程度に過ぎなかったのが2014年105件、2015年109件と、最近急激に増加している。

ポリケトンの出願人の現況(2006~2015年)を見ると、

出願人の割合を国内外別に見ると、国内出願人の割合が高く、出願が急増した2014と2015年には1件を除き全て国内出願人によって出願された。これは、外国では量産の失敗で類似した物性を持つ他のエンジニアリングプラスチックが活用されているのに反面、韓国では韓国企業が世界で初めて商用化技術を開発して量産を準備しているためとみられる。

主な国内出願人には、(株)ヒョソン261件、(株)現代自動車7件となり、特にヒョソンによる出願の割合は84.5%と最も高かった。主な海外出願人には、ブリヂストン(日本)が4件出願した。

ポリケトンに関する技術分野別現況(2006~2015年)を見ると、

ポリケトン関連技術は大きく、ポリケトンの製造、物性補完のための造成物、製品に分けられる。

2008年まではポリケトンの製造に関する出願の割合が高く、2009年以降はポリケトンの造成物に関する出願の割合が増えた。世界で初めて商用化に成功した2013年以降はポリケトンを活用した自動車用エンジンカバー等の製品(用途)関連出願が増加したため、2015年には出願の割合が約89%にまで上がった。

これは、研究開発の初期段階にはポリケトンの製造を中心に研究開発が行われたが、その後は開発されたポリケトンの物性を補完するための造成物の関連研究が活発になり、商用化が成功した2013年以降は自動車・電気電子分野の内・外装材、自動車用ホース(チューブ)、タイヤの補強用コード、エンジンカバー、ホイールカバー等にポリケトンを適用するための研究に集中したためとみられる。

特許庁のジャ・スングァン高分子繊維審査課長は「ポリケトンは、現在商用化されている様々なプラスチック材料の中で、韓国が世界で初めて量産化に成功した唯一のプラスチックだ。産業界・学界・研究会間の効率的な協力関係の構築により価格及び品質の競争力を持続的に確保していけば、未来の国家競争力に大きく貢献できる中核技術になると思う」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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