知的財産ニュース 健康志向の高まりによりタバコ関連商標出願が減少

2016年6月1日
出所: 韓国特許庁

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特許庁が世界禁煙の日を前に実施した調査では、2013年から2014年にかけて大幅に増加していたタバコ関連商標出願が2015年に入って減少したことが明らかになった。

※世界禁煙の日(World No Tobacco Day):世界保健機構(WHO)がタバコのない環境を目指して1987年に毎年5月31日を「世界禁煙の日」に指定

これは、近年健康の重要性に対する国民の関心が増大している中、禁煙キャンペイン、禁煙エリアの拡大、喫煙警告メッセージ表示義務化、タバコ価格の引き上げ等、着実に進めてきた禁煙政策の成果が現られているからだと分析されている。

タバコを指定商品にした商標(以下「タバコ関連商標」という)の年度別出願件数を見ると、2012年423件から2013年562件(前年比32.9%)、2014年817件(前年比45.4%)と大幅に増加してきたが、2015年には789件と前年比3.8%減少した。

過去5年間のタバコ関連商標出願計3,072件を法人・個人別に見ると、法人出願が2,331件(75.9%)と個人出願741件(24.1%)より3倍以上多い。

韓国人・外国人別では、韓国人による出願が2,257件(73.5%)と、外国人出願815件(26.5%)より約2.8倍多くなっており、タバコ関連商標出願は法人と韓国人が主導する傾向を示している。

個人出願の場合、2013年87件(97.7%)、2014年242件(178.2%)と大幅に増加していたのが2015年には263件(8.7%)と小幅ながら増加した半面、タバコ関連商標出願の3/4を占める法人出願の場合は、2013年475件(25.3%)、2014年575件(21.1%)と大きく増加していたのが2015年には523件(-9%)と減少した。

法人出願の減少は、健康増進に対する国民の関心の増加に加え、政府の持続的な禁煙政策の影響による喫煙需要の減少に伴い、タバコメーカーが新商品の発売を減らしたり、その時期を遅らせたりするためとみられる。

※成人男性の喫煙率:2014年43.1%→2015年39.9%(-3.8%)(出処:保健福祉部)

韓国人の出願は、2013年393件(28.4%)、2014年588件(49.6%)と増加し、2015年にも599件と小幅ながら増加傾向が続いたのに対し、外国人出願は、2012年117件(3.5%)、2013年169件(44.4%)、2014年229件(35.5%)と着実に増加してきたのが2015年には187件(-18.3%)と大きく減少した。

これは、国内の喫煙需要の減少が外国人出願により大きく影響を及ぼしたことの現れであり、外国のタバコメーカーも韓国での新たなブランドの展開に消極的な姿勢を取るためと考えられる。

この2年間の月別出願件数を見ると、タバコ価格の引き上げ前の2014年の場合、月別に着実な増加傾向(1月38件、4月47件、7月54件、10月73件、12月177件)を示しているが、タバコ価格が引き上げられた2015年の場合は、月別に明らかな減少傾向(1月137件、3月106件、6月106件、6月59件、10月47件、12月38件)を示している。

特許庁のチェ・ギュワン商標デザイン審査局長は「タバコ関連商標出願が減少していることは、喫煙に関する社会的認識の変化や健康に対する国民関心の増加、持続的な禁煙政策の推進等による喫煙需要の減少に伴い、タバコメーカーが戦略的に新商品の発売を遅らせている等、消極的な態度を取っているためと考えられる。このような傾向は、当面続く見通しだ」と述べた。

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