知的財産ニュース 特許庁、知的財産経営認定制度を導入

2016年4月26日
出所: 韓国特許庁

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  • 中小企業代表A
    海外バイヤーから知的財産経営マニュアルがあるかと聞かれる場合があり、周りを見ると中小企業も特許紛争に巻き込まれる場合も多いようだが、知的財産経営[1]はどのようにするものなのかよく分からない。
  • 中小企業代表B
    日本への輸出契約を締結する際に、特許が大きく役立った。特許登録証で技術力を認められ、とんでもない安い価格を提示した中国企業を抜いて輸出契約を締結した。政府が知的財産経営をしているという認定をしてくれば輸出契約に大きくプラスになると思う。
  • 大企業知的財産専担部署長C
    最小限の安全装置として契約の際、部品会社に特許保証[2]を要求することもあるが、長期的には望ましくない。わが社の場合、系列会社や協力会社を対象に特許教育等を行っているが、標準化した知的財産経営モデルがあれば中小企業における知的財産経営の拡大に大きく役立つと思われる。

特許庁は、中小企業の知的財産経営能力の向上に向け「知的財産経営認定制度」を世界で初めて導入・施行している。

「知的財産経営認定制度」とは、模範となる知的財産経営を行っている中小企業について、政府が知的財産経営企業として認定する制度である。

最近無形資産の価値が高まり、知的財産が将来の収益創出のカギとして浮上し、知的財産を企業経営に戦略的に活用する必要性が高まっている。

また、海外輸入業者等は、購買した部品により自社の製品が紛争に巻き込まれることを憂慮するため通常特許保証等を要求しており、市場を先取りしたグローバル企業等の特許攻勢の対象が大企業から中小・中堅企業にまで広がっていることから、知的財産経営は、大企業だけでなく、中小企業の成長においても欠かせないものとなりつつある。

しかし、大多数の中小企業の知的財産経営能力は依然として不十分であることが現状だ。

これを受け、特許庁では、中小企業の自発的参加を誘導し、知的財産経営が中小企業の普遍的な経営方式に定着できるように「知的財産経営認定制度」を世界で初めて導入し、4月28日から施行すると発表した。

特許庁はIPスター企業育成事業、知的財産権教育・コンサルティング等、知的財産経営を中小企業の現場に広く普及させるために、様々な知的財産権関連支援事業を実施している。しかし、限られた予算・人材だけで大多数の中小企業の力を向上させるには不十分と判断し、知的財産経営認定という制度的装置を設けたという。

特許庁は、知的財産経営認定を取得するために中小企業が知的財産経営を自発的に導入・運営すると期待しており、認定を取得するための審査基準は、知的財産経営のガイド役を担うことになり、中小企業が認定を取得する過程において知的財産経営技法を自然に学習できるだろうとした。

特許庁は、申し込んだ企業の知的財産権の保有現況、特許技術の動向把握、知的財産権紛争に関する事前の点検等、10分野を審査し、70点以上(100点満点)を獲得した企業に認定書を付与し、

認定企業には、特許・デザイン優先審査、特許・デザイン年次登録料減免、各種政府支援事業における優遇等、様々な優遇措置を提供する方針だ。

また、認定企業は、知的財産経営認定マークを企業の広報に使用できるため、認定企業の自負心を高められると同時に、知的財産経営に対する対外の信頼度・認知度を強化することができる。

知的財産経営企業として認定を受けたい中小企業は、4月28日からオンライン(www.ipcert.or.kr外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)上で申込み可能で、審査結果は、申し込み日から30日以内にを受けられる。

知的財産経営認定の有効期間は3年間で、3年後再認定が可能だ。

チェ・ドンギュ特許庁長は、「中小企業の知的財産競争力は、国の競争力となる。今後、多くの中小企業が知的財産経営優秀企業に成長することを期待し、特許庁もそのために積極的に努力していく方針だ」と述べた。


注記

[1]知的財産経営:特許・デザイン・商標・営業秘密等、知的財産を企業の資産として活用する経営戦略を通じて収益を創出することにより、企業の価値を高める経営活動
[2]特許保証:第3者の権利を侵害した場合に発生する訴訟費用又は損害賠償金支払い保証経営は大企業だけでなく、中小企業の成長においても欠かせない要素となっている。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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