知的財産ニュース 特許開放・移転の促進に向けた支援策が本格施行

2016年2月4日
出所: 韓国特許庁

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京畿道安養市にある中小企業、パントムはLG電子が忠北創造経済革新センターを通じて無償開放したCCTV(防犯カメラ)・映像処理関連特許15件の譲渡を受け、新製品を開発することにしていた。しかし、特許を無料で譲渡されるとしても現行の税法上、特許の時価を基準に10%の付加価値税を払わなければならないことを知って戸惑った。たくさんの特許を譲渡される場合は税金が相当かかるだけでなく、特許の価値算定にも数百万ウォンがかかり、本末転倒のような状況になってしまうためだ。

これからは、特許を無償で譲渡される中小企業の税金負担問題が完全に解決される見通しだ。特許庁は、特許権者が2年以上保有した特許を無償で譲渡する場合には譲需者が納付しなければならない付加価値税(以下「付加税」)が免除されると発表した。

今回の措置は、特許庁が官民合同創造経済推進団と共同で企画財政部、国税庁と協議し、付加化価値税法上、特許等無形資産の無償譲渡時における付加税課税に関する有権解釈を受けたことで可能となった。従来は、有償で特許が譲渡される場合には実際の取引価格を基準に付加税が課される反面、無償譲渡の場合は当該特許の時価を基準に付加税が課されるため、無償譲渡の方がより高い税金を払うことになるという不合理的な側面があった。さらに、特許時価算定が難しいことから付加税問題は、大企業の特許が中小企業に移転される上で大きなネックとなってきた。

これからは大企業等の特許権者が無償開放した特許を中小企業等に譲渡する場合、これを「事業上贈与」とみなすことになる。特許は減価償却資産であって特許庁に登録された時点から使用されたものとみなされ6カ月が経過する度に付加税が減免され、登録から2年が経つと付加税が100%非課税になる。
※付加価値税法第10条5項、第29条第11項、同法施行令第66条第1項及び第2項

現在、大企業が無償開放した特許計3万5千件のうち、約90%が登録から2年が経過したものと把握されている。(2016年2月時点約3万2千件)そのため、今回の付加税免除措置により、特許の中小企業への移転がさらに活性化するものと期待される。

また、大企業が中小企業に特許を無償移転すると「同伴成長指数評価」においても恩恵が与えられる。同伴成長指数の評価時に大企業が中小企業に特許を無償提供した実績に対し、これまでは0.5点(100点満点)の加算点を与えてきたが、同伴成長委員会との協議を経て今年の評価からは1点に引き上げることにした。

一方、特許庁は特許権者が創造経済革新センター又は知的財産取引情報システム(IP-Market)を通じて特許を開放し中小企業に無償移転する場合、特許権者が特許手数料を納付する際に現金のように使える「知的財産ポイント」を支給する制度を2015年11月から施行してきた。同制度では、特許権者が特許を無償でライセンスする場合には、ライセンス期間中に特許権者が納付した登録料の50%をポイントとして貯まり、無償譲渡する場合には30万ウォン相当のポイントが支給される。

また、特許庁は大企業が各創造経済革新センターを通じて開放した11万件余りの特許情報について、需要者がより容易に検索できるよう、知的財産取引情報システムを構築していた。

チェ・ドンギュ特許庁長は、「今回の特許開放に関する税金問題の解決や特許手数料の減免、同伴成長評価インセンティブの拡大等に支えられ、大企業の優秀特許の開放や中小企業への移転が一層拡大するものと期待される」とし「今年中に全国全ての創造経済革新センターに特許取引専門官を配置させ、知的財産金融を支援する等、移転された特許が中小企業の新製品開発や雇用創出につながるよう、積極的に後押しする方針だ」と述べた。

大企業の特許開放に関するインセンティブ及び支援

支援施策

内容

施行時期

付加価値税免除

特許権者が2年以上保有した特許を無償譲渡する場合、譲需者が納付しなければならない付加価値税を非課税

※特許が特許庁に登録された時点から6カ月が経過する度に付加価値税25%を減免→登録から2年経つと100%非課税

即時

(遡及適用可能)

同伴成長指数

評価優遇措置

同伴成長委員会による大企業同伴成長指数の評価時、中小企業に特許を無償提供(ライセンス及び譲渡)した実績に対する加算点の引き上げ:2015年0.5点→2016年1.0点

2016年

特許手数料減免

特許権者が創造経済革新センター又はIP-Marketを通じて特許を開放し、中小企業に無償移転する場合、特許手数料納付時に現金のように使える「知的財産ポイント」を支給

※知的財産取引情報システム(www.ipmarket.or.kr)

2015年11月1日

開放特許情報統合

大企業8社が創造経済革新センター等を通じて開放した11万件の特許情報をIP-Marketでまとめて提供

2015年10月23日

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
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