知的財産ニュース 中東諸国による韓国内商標出願が急増

2016年5月18日
出所: 韓国特許庁

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最近中東諸国の経済状況の悪化にもかかわらず、中東の企業による韓国に対する商標出願は大きく増加していることが分かった。

特許庁によると、2013年96件に過ぎなかった中東地域の韓国の10大輸出国の商標出願は2014年162件、2015年173件とこの3年間2倍近く増加した。

※サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラン、エジプト、クウェート、イラク、アルジェリア、ヨルダン、イスラエル、オマーン:2015年韓国貿易協会

このように商標出願が増加する背景には、最近サウジアラビア、イラン、イラク等中東諸国が原油価格の下落で財政状況が急激に厳しくなっているにもかかわらず、産業多角化政策や自国内製造業・ブランド育成政策、知的財産基盤の高付加価値産業へと政策の転換を推進していることがある。

また、中東市場において韓国のドラマや音楽、ファッション、料理等の文化コンテンツの人気が高まり、こうした韓流ブームの影響で韓国市場に対する商標出願が急増しているものと分析される。

特に、特許庁が2014年2月から特許審査官をアラブ首長国連邦(UAE)に派遣し、特許審査代行及びコンサルティングサービスを提供してきていることや、先月は初めて海外(UAE)に特許情報システムを輸出して知的財産行政韓流(K-IPMOVE)の拡大を主導してきたことも要因として挙げられる。

国別に見ると、イスラエルが計298件を出願して全体の半分以上(63%)を占め、その次にアラブ首長国連邦が76件(16%)サウジアラビアが45件(10%)イランが40件(9%)となる。

また、中東諸国から韓国に最も多く出願した商品は電子、通信機器等が112件で最も多く、医療用機器が56件、医薬品が53件だった。サービス業では、卸・小売業や運送や旅行業で多く出願されている。

特許庁のチェ・ギュワン商標デザイン審査局長は「最近、中東諸国においてエネルギー供給等に集中していた政策から知的財産基盤の産業政策へと転換されている中、中東諸国による韓国内の商標出願は増加し続けると予想されるが、こうしたことを踏まえ韓国企業も海外の知的財産権の攻略のために中東市場に注目する必要がある。今後も特許庁は、中東諸国との知的財産権関連協力・交流を強化し、知財権市場の発達の土台づくりに積極的に取り組む」との意気込みを示した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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